年齢が上がるほど男性の腎機能低下は加速
GFR値の平均は、登録時点では女性のほうが有意に低く、90(mL/分/1.73m2)で、男性は98(mL/分/1.73m2)でした。登録時にGFRの測定を受けていた1627人の追跡期間の中央値は10.7年になり、その間に32人(4%)の女性と50人(6%)の男性が死亡していました。
登録後の3回の受診時に「健康」と見なされた人の割合は、26%、27%、22%で、男女別に見ると、男性に比べ女性のほうが一貫して高くなっていました。なお、登録時点で「健康」と見なされた女性でも、GFRは男性に比べ8.3 (mL/分/1.73m2)低くなっていました。
男性と女性を分けて、年齢上昇に伴うGFRの変化の様子を調べたところ、男性のほうが低下の速度が速いことが明らかになりました。登録時点の年齢を考慮して推定したGFRの年間変化率の平均は、女性が-0.96 (mL/分/1.73m2/年)、男性は-1.20 (mL/分/1.73m2/年)でした。健康状態も考慮して男女別にGFRの変化率を推定しましたが、結果はほとんど変化しませんでした。
横軸を年齢、縦軸をGFRとして、男女別にグラフを書くと、女性では、年齢が上昇するにつれてGFRはほぼ直線的に低下していました。しかし男性では、当初は低下が緩やかで、その後少し急な低下を示す曲線が描かれました。男性では、高齢になるほどGFRの低下は急速になっていました。具体的には、50歳から60歳までの期間は、年齢の上昇とともに、男女のGFRの差が若干開く傾向が見られましたが、65歳前後から男性と女性のGFRの差が速やかに縮小し、72歳を超えたあたりで男女のGFRは同一になり、それ以降は、女性より男性のGFRが低くなっていました。
腎機能がいったん低下すると、改善することは容易ではありません。腎機能の低下を指摘されている人は、生活習慣を見直し、少しでも低下を遅らせるように心がける必要があります。
医学ジャーナリスト

[日経Gooday(グッデイ)2022年12月8日掲載]情報は掲載時点のものです。
有料会員限定記事を月3本まで閲覧できるなど、
有料会員の一部サービスを利用できます。
※こちらのページで日経ビジネス電子版の「有料会員」と「登録会員(無料)」の違いも紹介しています。
※有料登録手続きをしない限り、無料で一部サービスを利用し続けられます。
この記事はシリーズ「日経Gooday」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。

日経Gooday(グッデイ)は、健康・医療の最新情報をお届けする総合サイトです。有料会員になると、専門家に徹底取材した運動・筋トレ、食事、病気予防などの特集・連載記事に加えて、「専門家への24時間電話相談」「名医紹介サービス」「健診結果のAI予測」などをご利用いただけます。詳しい情報はこちらから
Powered by リゾーム?