糖質の摂取量を緩やかに抑え、食後高血糖を防ぐ「ロカボ」。昼間の眠気を抑えて仕事のパフォーマンスを高め、ダイエット効果、全身のメタボ化や老化に歯止めをかけることも期待できる食事法だ。しかしダイエットに何度もチャレンジしている人の中には、短期的な効果ではなく、長期にわたってしっかり効果が出るのか、気になる人もいるだろう。最終回となる今回は、日本人における長期的な検証結果、そして「ロカボがうまくいく人・いかない人の違い」などについて、北里大学北里研究所病院副院長・糖尿病センター長の山田悟さんに聞いていく。
緩やかな糖質制限である「ロカボ」は、極端な我慢をせずに、おいしく無理なく続けられる(写真はイメージ=123RF)
緩やかな糖質制限である「ロカボ」は、極端な我慢をせずに、おいしく無理なく続けられる(写真はイメージ=123RF)

「ロカボ」は長期にわたって効果を持続できる?

 ロカボとは、1食あたりの糖質量を20~40g、1日の糖質量を70~130g以内にとどめる「緩やかな糖質制限食」のこと。糖尿病専門医である山田さんが提唱する食事法だ(下図)。

 第1回(「ロカボで肥満・血糖値対策を! 『昼間の眠気』を撃退する効果も」)でお伝えしたように、タクシードライバーやコンビニ店員を対象にしたロカボの検証で、体重の減少や血糖値の低下などが確認されている。この研究は3カ月間の介入の結果だが、ロカボでは長期にわたって効果を維持できるのだろうか。

 山田さんはかねてより長期的な効果の検証、特に日本人における検証がとても重要だと考えていたと話す。

 「欧米で行われている糖質制限の研究では、短期的に改善すること、また、短期的に体重を減らすことに力点が置かれがちです。これは、欧米の糖尿病患者さんは肥満の人が圧倒的に多いからで、実際に糖質制限によって体重が減ると医療側の食事指導も緩んでしまい、1年後にはリバウンドしてしまう人が多いのです。一方、日本人を含む東アジア人は欧米人よりもインスリンの効きが悪いことが分かっており、太ってなくても糖尿病を発症します。おいしく、高カロリーをとりながら緩やかな糖質制限をすることによる長期的な結果は、私たちが出さなければならないと考えてきました」(山田さん)

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