働く人のストレス状況はますます深刻になっています。コロナ禍で働き方が多様になったものの、社員が孤立化し、一人で多くの仕事を抱えてメンタル不調に陥ることもあります。働く人のメンタルヘルスに関連した「お悩み」について産業医が回答する本連載。今回は、精神科医・産業医の奥田弘美先生が、読者から寄せられたリモートワークに関するお悩み2つについて回答します。
リモートワークだと上司の目が行き届かなくなり、勤務態度に問題のある部下のケアが十分に行われなくなる恐れがある(写真はイメージ=PIXTA)
リモートワークだと上司の目が行き届かなくなり、勤務態度に問題のある部下のケアが十分に行われなくなる恐れがある(写真はイメージ=PIXTA)
今回の「お悩み」その1
本当に「適応障害」? 部下がリモートワーク中にサボりがち

 リモートワークが中心の職場です。リモートワーク中に、レスポンスが悪く、仕事も遅い社員がいて困っています。

 実を言うと、リモートワークが始まる以前から、オフィスに出社していたときもサボりがちで、パフォーマンスが低いタイプの社員でした。

 管理者として何度か注意していましたが、さらに返信が来なくなりました。

 面談をすると、本人は「仕事をしようとすると体調が悪くなる、適応障害だ」と言います。

 こちらが注意している内容は棚に上げて、適応障害だなんて……。納得がいきません。どう話せばよいのでしょうか。

(Aさん 48歳 中間管理職)


※読者から寄せられた「お悩み」です。個人情報保護のため設定や内容を一部変更しています。また、このコーナーでは「お悩み」を募集しております。詳しくはこちら

問題のある部下の勤務態度がリモートワークでますます悪化

 もともと勤怠や勤務態度に問題があった社員が、リモートワークになって管理監督者の目が行き届かなくなったことで、さらに問題が悪化したというケースは、筆者が産業医を担当している企業でもチラホラ出ています。

 例えば、リモートワークになったことで、上司が直接、勤務状況を監督できなくなったのをいいことに、就業中にこっそり私用のために仕事場を離れ、必要なときにすぐに連絡が取れなくなったり、出社しなくてもよいために夜更かしするようになって生活習慣が乱れ、就業中やオンライン会議中に頻繁に居眠りする……といったトラブル事例もありました。

 Aさんの部下も、リモートワークでさらにパフォーマンスが低下し、業務に支障が出ているようですね。

 しかもAさんの指導に対して、「適応障害」という言葉まで出してくるとは……。部下から、実際に医療機関に通院して医師の診断を受けたという報告はあったのでしょうか?

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