地中海食群は低脂肪食群に比べ25~28%のリスク減少

 2009年10月1日から2012年2月28日までの期間に、条件を満たした1002人(平均年齢59.5歳、82.5%が男性)を登録し、500人を低脂肪食に、502人を地中海食に割り付けました。

 2018年7月1日まで追跡したところ、全体の13%に相当する132人が、割り付けられた食事法を継続できていませんでした。うち46人は地中海食群、86人は低脂肪食群で、これら人数には統計学的に有意な差が見られました。

 割り付けられた食事法を開始した時点の遵守度は、地中海食群が8.78ポイント、低脂肪食群は3.81ポイントでした。1年後には両群ともに遵守度が上昇しており、スコアは、地中海食群で1.99ポイント、低脂肪食群では2.53ポイント高くなっていました。それ以降の期間も、スコアは小さいながらさらに上昇し、地中海食群では11~12ポイントに維持され、低脂肪食群は6ポイント半ばから7ポイントを少し超えたあたりまでのレベルを維持していました。

 7年間追跡して、心筋梗塞、血行再建術(冠動脈バイパス術や経皮的冠動脈形成術)施行、虚血性脳卒中(脳梗塞)、末梢動脈疾患、心血管疾患による死亡を合わせた「心血管複合イベント」の発生の有無を調べました。イベントは計198人に発生、うち87人が地中海食群で、111人は低脂肪食群であり、1000人-年あたりの粗の発生率はそれぞれ、28.1と37.7で、差は有意でした。

 年齢、性別、冠動脈疾患の家族歴、喫煙習慣、BMI(体格指数)、LDLコレステロール値、糖尿病、高血圧、追跡期間中の体重と運動量の変化などを考慮して分析したところ、低脂肪食群に比べ地中海食群のほうが、複合イベントを経験するリスクが有意に低いことが明らかになりました。考慮する項目の数を変更するなどして、複数種類の分析を行ったところ、低脂肪食と比較した場合の地中海食によるリスク減少は25%から28%の範囲になり、すべて有意差を示しました。

 サブグループ解析を行ったところ、冠動脈疾患の家族歴がない人、試験に参加した時点で70歳未満だった人、試験参加時点で高血圧ではなかった人、LDLコレステロールが100mg/dL未満だった人において、低脂肪食と比較した地中海食の利益が有意に大きくなっていました。また、地中海食の利益は男性で大きく、リスク減少は32~33%になりました。

 多くの参加者を無作為に割り付けて十分な長さの追跡を行ったこの試験は、エビデンス(科学的根拠)レベルの高いものであり、心血管疾患の再発予防における、低脂肪食に対する地中海食の優越性を示しました。

大西淳子(おおにし じゅんこ)
医学ジャーナリスト
大西淳子(おおにし じゅんこ) 筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

[日経Gooday(グッデイ)2022年7月28日掲載]情報は掲載時点のものです。

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