考えすぎて煮詰まったら、「ぼーっとする」のがいい
仕事をしていると、「なにかいい切り口はないかな」「アイデアを出さなくては」と焦ることがあります。これ、というものが浮かばなくてずっと考え続けて頭が痛くなったりも…。今回はぜひ、「ひらめくための秘策」を脳科学の視点で教えてください。
篠原さん 確かに頭を抱えていても考え続けてもいっこうにひらめかない、ということがあります。一方で、執筆をするときなどにいい文章が出てくることも、いくらでもあります。つまり、ひらめいているときには悩まない。でも、ひらめかないときもあるから悩むんですよね。
まさにそうだと思います。頭を抱えてうんうんうなっているときには脳はどのような状態なのでしょう。
篠原さん 考え詰めているときには、脳では「実行機能ネットワーク」が働いています。これはタスクを処理するためのネットワークで、思考や行動をコントロールしながら課題解決に向かっていくもの。その神経基盤は脳の前頭葉、頭頂連合野などに存在します。
一方、創造力やアイデアなど「ひらめき」と関わるのが「デフォルト・モード・ネットワーク」という神経活動です(参考記事「脳トレは筋トレより効果が早く出る! 記憶の引き出しを鍛える3つのコツ」)。脳の内側前頭前野、後帯状皮質など脳の複数の領域が活性化します。デフォルト・モード・ネットワークは、ぼんやりしているとき、お風呂に入っているとき、散歩しているときなどに活性化することがわかっています。
確かに、シャワーを浴びているときに、「これ、いいかも」とひらめくことがわりとあるように思います!
篠原さん そのときにはデフォルト・モード・ネットワークが働いているはずです。脳がこのモードになっているときには、自分の体験や様々な記憶情報を脳が物語として作り直しています。ぼんやりしているときになんとなく人生を振り返ったり、つながると思わなかったもの同士につながりを発見したりする、つまり「ひらめく」ことが起こりやすいのです。
デフォルト・モード・ネットワークを活性化するには、以下のような行動がお勧めです。
- ぼんやりする
- 散歩する、歩き回る
- トイレに行く
- 水回りの掃除をする
- 料理をする
- 音楽を聴く(詳細は後述)
どれも、うんうん頭を抱えている状態とは逆の、ルーティンでできる行動である、という共通点があるわけです。
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