飲み過ぎると翌日お腹を壊しやすくなると感じている酒ジャーナリストの葉石かおりさん。同様の声は、ほかの酒好きからも上がっています。果たして、アルコールは腸にどのような影響を与えるのか。腸内環境を専門とする、神戸学院大学 栄養学部栄養学科 准教授の大平英夫さんにお話を伺いました。
飲み過ぎると翌日お腹を壊すという人は少なくない。どういうメカニズムだろう?(写真はイメージ=123RF)
飲み過ぎると翌日お腹を壊すという人は少なくない。どういうメカニズムだろう?(写真はイメージ=123RF)

 「断酒をしたら、あれだけひどかった下痢が治ったんだよ」

 風邪で体調が悪くなったのを機に、断酒をした友人からこんなLINEが来た。「一晩に焼酎ハイボールを軽く4~5缶空けるのは朝飯前」と言っていた彼は相当な酒豪。自宅で飲んで記憶をなくすのは普通で、万年2日酔いのような状態だった。

 その彼の悩みが下痢。いわゆる水下痢(水分の多い下痢)で、聞くと「ほぼ毎日下痢」だったそう。そんなひどい下痢が酒をやめた途端、治まったという。ついでに痔も改善し、絶好調のようだ。

 彼に限ったことではなく、「お酒を飲むとお腹を壊す」という酒飲みは意外と多い。実のところ筆者もそうで、飲み過ぎた翌朝は必ずと言っていいほどお腹を壊す。ひどいときはトイレにこもりっきりになってしまう。

 ただの水やお茶を飲み過ぎてもこうはならない。ということはやはりアルコールが腸に悪さを働いているのだろうか? もしや腸内細菌にも影響しているのでは……。腸内環境に詳しい神戸学院大学 栄養学部栄養学科 准教授の大平英夫さんにお話を伺った。

アルコールが原因の下痢には2パターンある

 先生、お酒を飲み過ぎた翌日にお腹を壊すのは、やはりアルコールが悪影響を与えているのでしょうか?

 「その可能性は高いですね。アルコールを大量摂取すると、水分と電解質(ナトリウムなど)の腸管への吸収が不十分になり、浸透圧性の下痢が起きます。これが飲み過ぎた翌日にお腹を壊すことの正体でしょう」(大平さん)

 大平さんによると、アルコールによる下痢にはもう1つパターンがあるという。

 「もう1つのパターンは、長期にわたる過剰なアルコール摂取が原因で、消化機能が低下することによって起こる下痢です。このタイプの下痢は、便に過剰な脂肪が存在することから、別名『脂肪便』とも言われます。アルコールの長期摂取によって主に膵臓の機能が落ち、消化液や胆汁の分泌量が低下し、脂質やたんぱく質がうまく分解、吸収できないことで起こります。この場合、みぞおちが痛いなどの自覚症状が見られる場合もあります」(大平さん)

 酒飲みであれば、浸透圧性の下痢は経験がある人が多いのではないだろうか。そして、できることなら脂肪便は経験しないでおきたいものだ。

 ところで、飲み過ぎれば必ず浸透圧性の下痢になってしまうのだろうか。飲む量以外にも、何か関係してくるものはないのだろうか。腸にダメージをなるべく与えない、理想的な飲み方があれば知りたいところだ。

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