日本人の2人に1人が食後高血糖?

 食後高血糖が恐ろしいのは、通常の健康診断では見つけることができないこと。健診で測るのは空腹時血糖で、食後2時間後などの血糖値を測るわけではない。つまり、健診結果では見つからないが、実は食後高血糖に該当する人が少なからずいるということだ。

 山田さんは、実は、日本人の半分程度が、食後高血糖に該当する可能性があるのではないかと指摘する。

 「2013年の中国における10万人規模の研究結果では、実に成人の2人に1人が血糖異常者だったという結果が出ています(JAMA. 2013;310(9):948-959.)。日本人は中国人と同じ東アジア人で体質が近いことから、日本人を対象にこの研究と同様の食後血糖測定を行えば、これに近い数値になると推測しています」(山田さん)

 日本人の2人に1人とは、驚きの比率である。山田さんによると、「食後に血糖値が上昇しても、若い頃ならインスリンによって速やかに血糖値を下げることができます。しかし、歳を取ると、インスリンの分泌能力が低下します。加えて、糖を取り込む場所である筋肉が減れば、糖が利用されにくくなります。40代を過ぎると、健康に見える人でも食後高血糖が見られるケースが増えてくるのです」という(*1)。

*1 食後高血糖を避ける食事法として山田さんが推奨しているのが、緩やかな糖質制限「ロカボ」だ。詳しくは、後編で紹介するが、朝昼晩の3食は、1食当たりの糖質量を20~40g程度にして、さらに間食10gを合わせて、1日当たり糖質70~130gに抑えるという食事法だ。カロリー制限はなく、たんぱく質や脂質はおなかいっぱい食べていい。

恐ろしい事実が判明! 私も食後高血糖だった!

 ここで話が前後して恐縮だが、今回の取材の後、恐ろしい事実が判明した。何と、私自身が食後高血糖であることが分かったのだ!

 取材で上記のような先生の話を聞いているうちに、「もしや自分も食後高血糖なのではないか…」と不安でたまらなくなった。というのも、パスタや丼物など糖質メインの昼食をとった後の午後2時くらいになると、ダルくなったり、どうにも眠くてたまらないということが少なくなかったからだ。そして、冒頭で触れたように、私は糖尿病家系、血糖値が上がりやすい体質である可能性が高い!

 あまりに心配になったので、取材の翌日、筆者も食後に血糖値を測ってみた(当日の朝ごはんはみたらし団子、昼食はビビンバ丼+唐揚げ+豚汁)。すると、食後2時間時点での血糖値は180mg/dLと、思いっきり食後高血糖であることが判明して、それはもう驚いた。

 筆者の場合、空腹時の血糖値は80mg/dLと基準値内で、健診で引っかからなかったため、「糖尿病と診断されてないし♪」と完全に油断していた。改めて糖尿病家系の恐ろしさを知ったのであった(涙)。

 この話を聞いて、「自分も大丈夫だろうか」と不安になった人も多いと思う。山田さんによると、「ランチの2時間くらい後に、眠くなる方は食後高血糖の可能性が高い」という。

 自分もアブナイ!と思った人は、ぜひ一度食後の血糖値を測ってほしい。調剤薬局にある検体測定室で、500円程度で測定できる。おにぎり2個と野菜ジュースを飲んで(これで糖質100g程度)、その2時間後に血糖値を測定して、血糖値が140mg/dLを超えていたら食後高血糖だ。もちろん、かかりつけの医師に相談したり、人間ドックの「経口ブドウ糖負荷試験」で測定してもいいだろう。

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