「脂をとる場合は、DHAやEPA、α-リノレン酸をはじめとする『オメガ3脂肪酸』を多く含む青魚や、亜麻仁油などがお勧め。オメガ3脂肪酸には、アレルギーの改善効果が認められています。そして、酔うことよりも、会話を楽しむことに重きをおいて、飲み過ぎに注意しましょう」(大久保さん)
酒を飲み出すと、つい唐揚げなど味の濃いものを選びたくなるが、花粉症のシーズンは青菜のおひたしや、イワシやアジの刺身を選ぶようにしたい。また、日本酒やビールよりも、蒸留酒である焼酎の水割りやハイボールが良さそうだ。
「花粉症のシーズンに限らず、花粉と接する粘膜や肌のケアを普段からすることも、症状を悪化させないポイントです。鼻をかむときはこすりすぎない、そしてティッシュを鼻の穴に詰め込むのも厳禁です。目には見えない小さな傷が、肌や粘膜についてしまうからです。他にも、規則正しい生活を送る、十分な睡眠をとる、ストレスをためない、少し汗をかくくらいの適度な運動をすることも花粉症対策につながります」(大久保さん)
花粉症の症状が出る前から生活習慣を整えておくことが、症状緩和へのカギになるという。心しておきたい。
根治を目指すなら「舌下免疫療法」
こうしたケアに加え、花粉症の最新治療も知っておきたいところ。一発で花粉症が完治するような治療があればいいのだが。
「残念ながら、花粉症は一度の治療で完治することは難しいですね。最新の治療でいうと、薬を飲んでも症状が緩和しない重症の方に向けた抗体治療があります。抗IgE抗体のゾレア(一般名:オマリズマブ) を、2週間または4週間に一度、皮下注射する治療です。ただしこれは重症患者のみが対象で、値段も高価です」(大久保さん)
根本治療を目指すのであれば、「舌下免疫療法」がお勧めだという。
「舌下免疫療法は、アレルギー反応を起こす物質を毎日体に入れる治療法で、通常2~3年程度かかりますが、1年継続するだけでも症状がだいぶ緩和すると言われています。花粉の飛散がなくなった6月ごろからスタートすれば、翌年の服薬量を減らすことも期待できます」(大久保さん)
花粉症シーズンも、外でのスポーツや花見を心から楽しみたいのであれば、舌下免疫療法を検討してもいいかもしれない。治療が終わるまで時間がかかるが、花粉症のしんどさを考えれば挑む価値大である。
コロナ禍は飛沫が気になることから、いつも以上に花粉症のケアが重要になってくる。飲んでいる最中にくしゃみを連発されると、気になって仕方ないからだ。一緒に酒を飲んでいる相手にしかめ面をされないよう、普段からのケアと病院で薬を処方してもらうことを怠らないようにしたい。

コロナ禍で酒との付き合い方が激変!? 今読みたい科学の知見を一冊に。
様々な病気のスペシャリストや、酒の人体への影響を調べる研究者が、最新の科学知識を分かりやすく解説。
酒が大好きな人も、健康にちょっぴり不安を感じている人も、下戸だけど人体のしくみに興味がある人も、アフターコロナに備えて今こそ読みたい科学の知見が満載です。
葉石かおり著 肝臓専門医・浅部伸一監修
日本医科大学大学院医学研究科 頭頸部感覚器科学分野 教授

[日経Gooday(グッデイ)2022年4月6日掲載]情報は掲載時点のものです。

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ウェビナー開催 西口一希氏とミスミに学ぶ 会社を成長させる「顧客理解」

これまで約40社の経営を支援してきたStrategy Partners代表の西口一希氏。「成長の壁」に悩む多くの経営者に対して「企業の成長に伴い、顧客よりも財務の数字や組織運営に関心を向けてしまう問題」の大きさを指摘してきました。
日経ビジネスLIVEでは、成長の壁に悩む経営者や事業責任者、さらに現場で取り組む層に向け、西口氏が『顧客起点の経営』について語るウェビナーを2週連続で開催します。ぜひご参加ください。
■第1回:2022年7月5日(火)19:00~20:00(予定)
■テーマ:なぜ企業の成長は止まるのか? すべてのカギを握る顧客理解
■講師:『顧客起点の経営』著者・Strategy Partners代表 西口一希氏
■第2回:2022年7月12日(火)19:00~20:00(予定)
■テーマ:顧客を分析、ニーズに対応して急成長 ミスミ「meviy(メビ―)」事業に学ぶ
■講師:西口一希氏、ミスミグループ本社 常務執行役員meviy事業担当・ID企業体社長 吉田光伸氏
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■受講料:日経ビジネス電子版の有料会員のみ無料(事前登録制、先着順)。
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