「緊張しやすい人でも本番に強い」人の秘密とは?

今回教えていただいた「緊張対策」は、どれもすぐにでも始められそうです。

篠原さん 最後にお伝えしたいのは、「緊張しやすい人でも本番に強い人はいる」ということです。

 その人たちは何をして「本番に強くなった」のか。自分は緊張しやすいことを知っていて、準備をするのです。

 試験前に模擬試験は受けておこうよ、というのと同じ話です。緊張しやすい学生だって、模試を3~4回受ければ慣れてくるものです。慣れていない現場では緊張をするし、パフォーマンスも落ちるもの。それを計算に入れて練習しておけばいい。

 そのためには、「ストレスがかかった状態でもパフォーマンスを上げられるような練習」をする必要があります。ピアノの発表会でうまく弾けなくなるのなら、極端な例かもしれませんが、演奏前に走って心拍数を高めた状態でピアノが弾けるか試してみるのだって有効です。

緊張しているときと同じ身体状況を作るわけですね。

篠原さん ペーパーテストなら、時間を短くしたり、うるさい環境で受けたりするなど、負荷をかける。社長の前でのプレゼンなら、社長の嫌そうな表情の写真を手に入れてそれを横に置きながらプレゼンの練習をする。緊張しやすい「損害回避傾向」のある人たちはそういったトレーニングを行うことで克服しています。不安や緊張も当たり前ながら「慣れ」が生じてきますから、繰り返すうちに慣れて、乗り切れるようになりますよ。

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 次回は、そりの合わない上司、気持ちがすれ違う親子関係など、ネガティブな人間関係の悪循環ループを断ち切る方法について聞く。

篠原菊紀(しのはら きくのり)さん
公立諏訪東京理科大学工学部情報応用工学科教授。医療介護・健康工学研究部門長
篠原菊紀(しのはら きくのり)さん 専門は脳科学、応用健康科学。遊ぶ、運動する、学習するといった日常の場面における脳活動を調べている。ドーパミン神経系の特徴を利用し遊技機のもたらす快感を量的に計測したり、ギャンブル障害・ゲーム障害の実態調査や予防・ケア、脳トレーニング、AI(人工知能)研究など、ヒトの脳のメカニズムを探求する。

[日経Gooday(グッデイ)2022年4月20日掲載]情報は掲載時点のものです。

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