現代を生きる私たちにとって「ストレス対策」は、もはや自分を守るための必須テクニックと言っていいでしょう。この連載では「ストレス対策」をテーマに、この分野の専門家の方々に最新の取り組みについて尋ねます。今回はストレス軽減のための意図的な対処法「コーピング」というセルフケアについて、この分野の第一人者であるセラピストの伊藤絵美先生にその考え方や実践方法を尋ねた内容を、私(五十嵐)がまとめて紹介します。
写真はイメージ=123RF
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 「コーピング」とはストレスに対して意図的に対処する、セルフケアの一つの方法です。セルフケアとは自分で自分をケアすることをいいます。

『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/477241827X/" target="_blank" rel="noopener">コーピングのやさしい教科書</a>』(伊藤絵美 著、金剛出版)
コーピングのやさしい教科書』(伊藤絵美 著、金剛出版)

 今回は、この分野の第⼀⼈者である伊藤絵美先⽣が提唱されている「ストレス・コーピング」とはどういうものか。私が解説していきます。

 「コーピング」とは「ストレスに対する意図的な対処」 です。何にストレスを感じるかは人によって違い、そして、自分が感じたストレスは自分にしか気づけません。だからこそ、ストレスを感じたときに、自分自身で意図的な対処(=コーピング)をタイミングよく、こまめに行うこと(=セルフケア)で、その影響を和らげ、心身を回復させることが健康な心身の維持に有効というわけです。

 この「コーピング」の第一歩は、自分にストレスを与える原因(ストレッサー)が何であるか、また、そのストレスによって自分にどういう反応(ストレス反応)が表れるか。この2つを知ることです。

自分にとっての「ストレスの原因=ストレッサー」は何か?

 私たちが日常の中でストレスを感じる場面はいろいろあります。でも、何にストレスを感じるかは人によって違います。

 例えばAさんは「大勢の人の前で話をすること」に強いストレスを感じるけれど、Bさんは、逆に「大勢の人の前で話すことが得意」。一方で、Bさんは「細かい作業」にストレスを感じるけれど、Aさんは「細かい作業を丁寧にきっちり仕上げることが好き」なのでストレスをあまり感じない、という具合です。

 自分がどういう状況、どういう相手、どういう出来事にストレスを感じるか。自分を取り巻く環境の中で、ストレスの原因となっているものは何か。この「ストレスの原因」を「ストレッサー」といいます。まずは、自分にとっての「ストレッサー」を把握することがストレス対策の第一歩です。

 ストレッサーは一つとは限りません。仕事の状況や職場の人間関係、苦手な上司や同僚、ウマの合わないご近所さん、自身の健康状態、家族の状況など…。「これだ」と思うものをどんどん挙げて、書き出してみましょう。

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