青魚などに多く含まれる、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)などのオメガ3脂肪酸を食事以外から1年以上にわたって摂取すると、不整脈の一種である心房細動のリスクが用量依存的に上昇することが、スイスの研究者らが行った検討(*1)で示唆されました。

動脈硬化の予防に役立つと考えられているオメガ3脂肪酸をとりすぎると、心房細動のリスクが上昇?(写真=PIXTA)
動脈硬化の予防に役立つと考えられているオメガ3脂肪酸をとりすぎると、心房細動のリスクが上昇?(写真=PIXTA)

オメガ3脂肪酸は動脈硬化を減らすが心房細動を増やす?

 オメガ3脂肪酸を積極的に摂取すると、動脈硬化(アテローム性動脈硬化症)のリスクが下がる可能性があることが知られており、DHAやEPAを含むサプリメントも数多く販売されています。一方で、オメガ3脂肪酸の摂取と心房細動のリスクを検討した研究の中には、リスクの上昇を示したものと、リスク上昇はなかったとしているものの両方がありました。

 今回、スイスのジュネーブ大学などの研究者たちは、同様の研究が異なる結果を得ている理由として、オメガ3脂肪酸の投与量が関係しているのではないかと考えました。そこで、より新しい無作為化試験のデータを集めて、オメガ3脂肪酸の投与量に基づいて参加者を層別化し、心房細動との関係を検討することにしました。

 文献データベースから、2012年1月1日から2020年12月31日までの期間に報告されていた二重盲検法(*2)の無作為化試験のうち、500人以上を対象に、一方を魚介類由来のオメガ3脂肪酸(DHA、EPA、またはエイコサペンタエン酸エチルエステル;介入群)に、もう一方をオリーブオイルやコーンオイルなどの植物性油脂(対照群)に割り付けて1年以上追跡していた研究を抽出しました。

 7件の試験が条件を満たしました。登録者の合計は8万1210人(平均年齢65歳、39%が女性)でした。このうち72.6%が参加していた試験では、介入群に対するオメガ3脂肪酸の投与量が低用量(1日1g以下)で、残る27.4%が参加した試験では高用量(1日1g超)でした。追跡期間の平均は4.9年で、その間に2905人(3.6%)が心房細動を経験していました。うち2258人(77.8%)が低用量の試験の参加者、647人(22.2%)は高用量の試験の参加者でした。

オメガ3脂肪酸を投与したグループの心房細動リスクは1.25倍

 7件の試験のデータを合わせて分析したところ、オメガ3脂肪酸の摂取は心房細動リスクの有意な上昇と関係しており、対照群に比べ、オメガ3脂肪酸を投与した介入群の心房細動リスクは1.25倍になっていました。

*1 Gencer B, et al. Circulation. 2021 Dec 21;144(25):1981-1990.
*2 二重盲検法:被検者も投与者も、どちらのグループにどちらの薬を投与しているかが分からない状態で行う臨床試験のこと。ダブルブラインド。

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