普段の食事で発酵食品をたくさんとると、腸内フローラ(*1)の多様性が増し、全身性の炎症が抑制される可能性があることが米国の研究で明らかになりました。

食物繊維や発酵食品は腸内フローラに好ましい影響を与えるのか?
先進国では、工業化が進むにつれて慢性疾患の患者が増加し、並行して腸内フローラも変化してきたことが分かっています。また、米国に移民した人たちを追跡した研究では、移民後に腸内フローラが速やかに欧化し、肥満が増えて、炎症レベルを示す検査値も悪化した、と報告されています。
腸内フローラは全身性の炎症状態に影響すること、そして慢性疾患の多くに慢性炎症が関係することから、食事によって腸内フローラのバランスを変化させられるなら、食習慣を見直すことにより、全身性の炎症を弱め、慢性疾患のリスクを低減できるのではないかと考えられるようになりました。
近年、腸内フローラに好ましい影響を与える可能性があるとして注目されているのが、食物繊維と発酵食品です。食物繊維の摂取量が多い人ほど死亡率が低いとする報告があるほか、食物繊維の摂取を増やすと、腸内フローラに変化が生じ、健康関連の検査値も改善することが示唆されています。
ヨーグルトやキムチなどの発酵食品が健康利益をもたらすことを示すデータも蓄積されています。発酵食品の摂取は、体重の維持に役立ち、糖尿病、がん、心血管疾患リスクの低下と関係することが、大規模な観察研究などで示唆されていました。
そこで今回、米スタンフォード大学などの研究者たちは、米国の成人を対象に、食物繊維が豊富な食事、または発酵食品を豊富に摂取する食事を10週間続けることにより、腸内フローラと免疫系にどのような影響が現れるのかを調べることにしました。
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