米国とOECD加盟20カ国を比較すると、米国の新型コロナウイルス感染症による死亡率は、デルタ株流行期間とオミクロン株流行期間のいずれにおいても、OECD加盟20カ国のどこよりも高くなっていました。
超過死亡率についても同様の傾向が見られました。OECD加盟20カ国のうち、10万人あたりの超過死亡率を算出できた14カ国の、デルタ株流行期とオミクロン株流行期のあらゆる原因による超過死亡率は、すべて米国より低くなっていました。超過死亡率が最も低かったニュージーランドでは、デルタ株流行期が10万人あたり-7.6人、オミクロン株流行期は10万人あたり12.7人で、これらの期間を合わせても5.1人になりました。もし、米国がニュージーランドと同じ超過死亡率だったとしたら、全体では46万5747人(デルタ株流行期には35万4910人、オミクロン株流行期には11万837人)が死亡を回避できたと推定されました。
これらの国々では、新型コロナウイルス感染症の診断基準、新型コロナウイルス感染症による死亡の把握方法などが異なるため、ワクチン接種率が高い国ほど死亡率が低いことを示す明確なデータは得られませんでした。一方、米国内の各州のデータは、基本的に同じ基準を用いて収集されているため、ワクチン接種率との関係が検討しやすくなります。米国内の比較においては、接種率が高い地域ほど死亡率は低くなっていました。
著者らは「国民全体のワクチン接種率を引き上げるための啓発活動を行いつつ、ワクチンの追加接種を優先的に受けるべき人々に接種を促すことや、その他の感染予防、重症化予防のための対策を行うことが、死亡の回避においてこれからも必要になる」との考えを示しています。
医学ジャーナリスト

[日経Gooday(グッデイ)2023年1月4日掲載]情報は掲載時点のものです。
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