加糖飲料をよく飲む人は大腸がんや腎臓がんのリスクが上昇
条件を満たした93万4777人を27.7年(中央値)追跡しました。その間に13万5093人ががんで死亡していました。
加糖飲料の摂取は、20種類のがん全体の死亡リスクとは有意な関係を示しませんでした。人種や喫煙習慣、パートナーの有無、学歴、赤身肉や加工肉の摂取など、BMI以外で分析に影響を及ぼす可能性のある要因を考慮して、加糖飲料の摂取と死亡リスクの関係を検討しましたが、加糖飲料を全く飲まない人たちと比べ、1日に2杯以上摂取していた人々にがん死亡リスクの上昇は見られませんでした。
しかし、肥満関連がんに絞ると、1日2杯以上摂取していた人々のがん死亡リスクは、全く摂取しない人の1.05倍になっていました。しかし、分析において考慮する要因にBMIを追加すると、リスク上昇は有意ではなくなりました。
BMIを除く要因を考慮し、20種類のがんのそれぞれによる死亡と加糖飲料の摂取の関係を検討したところ、摂取量が多い人において、いくつかのがんによる死亡のリスクが高いことが示されました。考慮する要因にBMIを加えた後も引き続き加糖飲料の摂取との関係が有意だったのは、大腸がん(1.07倍)、非ホジキンリンパ腫(1.14倍)、腎臓がん(1.14倍)の3つで、それらのがんによる死亡リスクは、BMIとは無関係に、加糖飲料の摂取量が増えるほど高くなる傾向が見られました。
続いて、人工甘味料入り飲料について検討しました。人工甘味料入り飲料の摂取と、20種類のがん全体の死亡リスクには有意な関係は認められませんでした。肥満関連がんによる死亡リスクは、全く摂取しない人に比べ1日に2杯以上摂取する人で1.05倍になっていましたが、考慮する要因にBMIを加えると、この関係は有意ではなくなりました。
個々のがんについての検討で、BMIを考慮に加えても人工甘味料入り飲料の摂取と有意な関係を示したのは、膵臓がん(1.11倍)でした。
以上より、加糖飲料の摂取が多い人では、大腸がん、非ホジキンリンパ腫、腎臓がんによる死亡リスクが、人工甘味料入り飲料の摂取が多い人は膵臓がんによる死亡リスクが、それぞれ肥満とは無関係に上昇していることが分かりました。
医学ジャーナリスト

[日経Gooday(グッデイ)2022年12月26日掲載]情報は掲載時点のものです。
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