新型コロナウイルスの感染拡大を受けて急速に普及したテレワーク。早くからこの仕組みを導入してきた森トラストは直ちに新しい働き方に順応したものの、在宅で孤独に働くストレスや休暇の取得率低下という課題が顕在化してきた。健康経営を推進する同社は社内で希望者を募り、3月から自社が運営するリゾート地のホテルで仕事(ワーク)と休暇(バケーション)を組み合わせた「ワーケーション」の効果を試す実験を続けている。生体データを計測して「エンゲージメント(働きがい)」「メンタルヘルス」「睡眠」の3つを定量的に分析するこの取り組みについて、伊達美和子社長に話を聞いた。

伊達 美和子(だて みわこ)氏
森トラスト社長
東京都出身。慶応義塾大学大学院修了。総合コンサルティング会社勤務を経て、1998年森トラスト入社。2011年に森トラスト・ホテルズ&リゾーツ社長、16年に森トラスト代表取締役社長に就任。全国に16のホテルプロジェクトを推進する傍ら、20 年3月に完工した虎ノ門・神谷町エリアにおける複合施設「東京ワールドゲート」や赤坂ツインタワー跡地における「赤坂二丁目プロジェクト」といった複数の大型都市開発を推進している(写真:的野弘路)

コロナ禍を受けて森トラストではどのように働き方を変えたのでしょうか。

伊達美和子氏:コロナ禍によって大半の社員が出社不可となったときも比較的スムーズに対応できました。数年前からテレワークの研究を進めていたおかげです。以前から子育て世代の社員が育児休暇を終えて業務に復帰する際に、「希望としてはフルタイムで働きたいのに物理的に難しい」という課題がありました。テレワークの制度設計や実施環境、リスクチェックなどを通じて電子決済など社内手続きの改善を続けてきたのです。

 もっとも、コロナ禍での全社的なテレワーク導入を通じて、社員の健康や時間の管理に課題があると分かってきました。例えば、有給休暇取得率の減少です。2019年に7割だった有休取得率は20年に5割に落ち込みました。有休取得を奨励しても自宅での勤務は仕事と休暇の境目が曖昧となるため、休みが取りづらくなっていました。パソコンで作業する時間が増え、生活も夜型になります。こうした生活は徐々に体をむしばんでいきます。

 出社しないことで運動不足になったり、人との直接的な交流が減ってメンタルが不調になったりする話も聞きました。テレワークの働き方をリセットする機会が必要なのではないかと考え、仕事をしつつ有休を効果的に取得する方法として「ワーケーション」の実験を始めたのです。ワーケーションが組織や社員にもたらす効果を測るため定量的に効果を測定しました。

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