前号の最後で、多くの企業に共通している、売上が伸びなくなる主な原因は、伸び続けるように『ブランド』を設計できないこと、そしてそのブランドを実現できるように『組織構造』を変革できないことと指摘させて頂いた。(「森岡毅が語る『売上が伸びないのはなぜか?』(前編)」) 今回はそれぞれについて、より踏み込んだ考察を述べさせて頂きたい。

ブランドは、意図的に創るもの

 まず、ブランドとは何か? 残念ながら、目や耳や舌など、五感で知覚できるモノやサービスをブランドだと誤解している人が、今だに後を絶たない。モノやサービスは重要だが、それら使用体験である“プロダクト”はブランドそのものではない。プロダクトは、その知覚体験から消費者(あるいは顧客)の脳内において「ブランド」を構築するための手段に過ぎないのだ。つまり、ブランドとは、それを選ぶヒトの脳内にのみ存在する。例えば、TOYOTAは素晴らしいブランドだが、TOYOTAの優れた自動車はブランドそのものではなく、消費者の頭の中にブランドを構築するための最重要手段の1つである。自社商品と消費者のすべての接点において、消費者の頭の中で「意味」と「価値」が蓄積されて記号になったもの、それをブランドと呼ぶ。

 売上の成長が止まる本質を端的に言えば、自社ブランドが消費者の頭の中で伸び悩んでいるからである。つまり、消費者の頭の中で、自社ブランドが競合品や代替品に対して選ばれる“確率”が相対的に伸びなくなっているということ。そうなってしまう原因はシンプルで、「“確率”高く選ばれ続けるブランドを設計するノウハウ」、つまり本物のマーケティングの核となるノウハウがその会社に備わっていないことだ。

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