新型コロナウイルスの感染拡大の中、大阪府や兵庫県などは医療逼迫の限界に近づきつつある。感染者数はピーク時よりやや減ったが、重症病床の使用率は100%前後で、死者も増え続け、綱渡りの状況が続く。ウイルスは重症化率の高い変異株に置き換わり、厳しい戦いを迫られる。大阪の医療の現場は今、どうなっているのか。最前線で戦う大阪市立総合医療センター感染症内科副部長の白野倫徳医師に聞いた。

大阪府の新型コロナ感染者数(陽性者数)は連日1000人前後が続いた4月半ばから5月初めほどではありませんが、ここ数日も600~700人ほどの日が多く、明確な下げになっていません。重症病床の使用率も90%台を超えたままです。医療の逼迫はなお厳しい状況が続いています。

<span class="fontBold">白野倫徳(しらの・みちのり)氏</span><br> 2002年、愛媛大学医学部卒業。大阪市立総合医療センター感染症内科副部長。同センター、京都大学大学院(臨床病態検査学)などを経て2010年より現職。 日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本感染症学会感染症専門医・指導医
白野倫徳(しらの・みちのり)氏
2002年、愛媛大学医学部卒業。大阪市立総合医療センター感染症内科副部長。同センター、京都大学大学院(臨床病態検査学)などを経て2010年より現職。 日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本感染症学会感染症専門医・指導医

白野倫徳・大阪市立総合医療センター感染症内科副部長:当病院への重症患者さんの搬送依頼は減っていません。重症病床は満床が続いていて、「今日1床空いたので、今日は1人受け入れられる」というような状況が約1カ月続いています。当病院ではICU(集中治療室)28床のうち、これまで20床をコロナ用の重症病床として運用してきましたが、府内の医療が厳しくなってきたので4月半ばごろに3床増やし、23床にしました。

 うちは小児救急も受け入れているし、かかりつけの方が状態が悪くなったときによその病院に行ってというわけにはいかないので、これ以上はなかなか難しい。現状は重症の方でも中等症の病床に一部入ってもらってなんとか対応している状況です。本来は集中治療室に入っていただいたほうがいい人です。無理をしながらなんとかしている状況です。

「集中治療室に入っても甲斐なく亡くなる方もある」

中等症の病床はどうでしょうか。こちらも大阪府全体では使用率が5月に入って80%から70%台を続け、相当に厳しい状況のようです。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1627文字 / 全文2397文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

特集、人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

ウェビナー【日経ビジネスLIVE】にも参加し放題

日経ビジネス最新号、10年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「コロナ後の医療、危機管理なき日本の隘路」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。