ワクチン接種が遅れる主因の一つは、国内で開発したワクチンがないことだ。米欧中ロは、国が安全保障の柱と位置づけ、徹底した産業育成をしてきた。日本は国民のワクチンへの不信感もある。政府支援がなければ周回遅れが続く。

 「ワクチンの分配が不平等だ」。3月半ば、オーストリアやチェコなど主に東欧6カ国の首脳が欧州連合(EU)のシャルル・ミシェル大統領との電話協議で口々に不満を訴えた。EUでは欧州委員会が製薬会社から一括して新型コロナウイルス用のワクチンを調達し、人口比などで配分している。ところが製薬会社と裏取引をしてワクチンを多く確保している一部の国があると疑い、不満が爆発した。

アストラゼネカのワクチン。英国は接種率が高い(写真:ロイター/アフロ)

 EUはこの後、加盟国の“怒り”を和らげるかのように、1月に導入した域内からのワクチンの輸出規制の強化に踏み切った。念頭にあったのは英アストラゼネカとされる。同社のEUへのコロナワクチンの供給は今年1~3月、契約による当初予定の3分の1(約1万3000回分)、4~6月も4割弱(約7000万回分)にとどまる見通し(いずれも3月末時点)。欧州委員会は同社がEU内で生産したワクチンを契約を果たす前に母国の英国へ供給しているとみられる状況に対応して規制強化に踏み切った。

 結果として国・地域別の人口100人当たり累計接種回数(日本経済新聞社・英フィナンシャル・タイムズが集計、4月19日更新)では独仏伊が24.8~25.7回。不満をぶちまけたオーストリアはそれより多い27.7回となった。だが、アストラゼネカを擁する英国の64.1回に比べれば半分以下にとどまる。独仏伊は、世界の接種回数で30位台、英国は7位だ。日本は1.5回で100位にも入っていない。

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