新型コロナウイルスのワクチンを高齢者に接種し始めた東京都八王子市。初日となった4月12日午前、医師が高齢者に対し問診や注射を続ける市庁舎で、石森孝志市長が記者団の取材に応じた。「いろんなところで、すべての方に接種できることを伝えてきたが、ワクチン接種への関心が非常に高いことが分かった。国も国民の期待の高さを知ってほしい」

4月12日に各地で高齢者へのワクチン接種が始まった。写真は東京都八王子市(代表撮影)

 午後には菅義偉首相が市庁舎を訪れ、接種会場を視察する予定になっていた。その中で国に現場の実情を訴えたかったようだ。

 政府は当初、高齢者の接種開始時期を3月下旬以降としていたが、1月下旬になるとワクチン担当を兼務した河野太郎規制改革相が4月1日以降へと「延期」を表明した。そして、最終的に4月12日からの接種に落ち着いた。

 日程が変わったうえ、当初は供給量も少ない。第1弾となる4月5日の週に届いたワクチンは東京都、神奈川県、大阪府の3都府県で各4箱、それ以外の44道府県は各2箱。1箱に入っているのは、接種回数にして975回分だ。ある首長は「すずめの涙」と表現した。

 4月12日の週以降、供給回数は増えている。それでも全国で対象となる65歳以上の高齢者3600万人のうち計算上、4月末までに2回接種できるのは140万人程度と全体の4%弱にとどまる。

 この間の国と自治体は行き違いばかりだった。全国知事会で新型コロナウイルス緊急対策本部本部長代行・副本部長を務める鳥取県の平井伸治知事は「一度組んだスケジュールを変えないといけないのが一番困った」と話す。

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