
「押し寄せる移民にヘイトクライム 『トランピズム』は消えたのか?」でも見たように、米国内にくすぶる社会不安を打破するには、新型コロナウイルスの影響で停滞した経済の立て直しが先決だ。
当初、ほとんど公の場に姿を見せなかったバイデン大統領は、就任50日が経過した頃から表舞台に出てきて強気の発言や行動が目立つようになった。ワシントンで渉外を担当する日系企業幹部は「柔和なイメージが変わった」と話す。
最初の成果は3月10日、上院を通過していた1兆9000億ドル(約209兆円)規模の新型コロナ対策を下院で通過させ、翌11日に自ら署名して成立させたことだ。12日から1人当たり最大1400ドルの給付金をばらまき、失業者には州政府による給付金に加えて連邦政府からも週300ドルを出すことも始めた。
ワクチン普及のための施設や人材などの予算も確保。いずれもトランプ政権でも実施された内容ではあるが、「そのスピード感には度肝を抜かれた」とある在米日本人投資家は話す。

だが正念場はこれからだ。新型コロナ対策が経済復活のための「応急措置」なら、3月31日に詳細を発表したインフラ投資計画は「本格治療」に当たる。前者の1兆9000億ドルに加え、後者は計画通りなら2兆2500億ドルに上り、財源確保が急務だ。
3月末に発表した企業増税案には早くも共和党議員から反対の声が上がる。いかに柔軟な姿勢で交渉を重ねながら法案を通過させるかにバイデン政権の真価が問われている。
米国市場を相手にする日本企業にとって気になるのは、大型投資が自社のビジネスにどんな影響を与えるかだろう。業界関係者や識者の予測をベースに、主要閣僚メンバーの存在も踏まえながら、企業を待ち受ける環境の変化を予測していく。
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