マキャベリズムの誤解と再評価

 現代でもよく使われる「マキャベリズム」という言葉は、いかなる権謀術数であっても、政治目的のためなら許されるという考え方をいいます。今では単に「目的のためには手段を選ばない」という意味で使われる場合もありますが、本来は人間の本質を直視した、重要な倫理的問題を提起している言葉です。

 また本書には、恩恵や賞罰の与え方、さまざまな人間集団をまとめる術、部下への接し方、他人との距離の取り方など、人間関係についても具体的に多くのことが記されています。理想主義的な思想の強いルネサンス期に、人間の現実の姿を観察することで、政治は宗教や道徳から切り離して考えるべきであるという現実論を説いた本書は、当時の社会では画期的であった半面、その後、長い間、道義や倫理を無視した冷酷な権力論を説いたものと考えられてきました。こうした文脈で、菅義偉首相も自著『政治家の覚悟 官僚を動かせ』の中で、マキャベリの言葉を信奉していることを書いています。

 ところが18世紀になると、ルソーが『社会契約論』の中で、「王公に教えをたれるとみせかけて人民に偉大な教訓を与えた君主論は共和主義者の教科書」であるとして再評価されます。さらに、モンテスキューやヘーゲルも本書を支持したことで評価は一変し、マキャベリは「近代政治学の祖」と考えられるようになりました。

 プロイセンのフリードリヒ大王は、ヴォルテールがマキャベリを称賛したことに対して『反マキャベリ論』を書き、その反人道性を批判しましたが、実際には大王自身もマキャベリズムを駆使したといわれています。

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 ニュートンが、「私がかなたを見渡せたのだとしたら、それは巨人の肩の上に乗っていたからだ」と語ったように、「人類の知」は、我々のはるか昔の祖先から連綿とつながっています。

 そこで本書ではまず、宗教から始まった人類の思索が、哲学という形に移行し、そこから自然科学が分岐し、そして経済学、さらには今日の我々の生活の全てを規定している「資本主義」という大きな物語の誕生に至る、人類の知の進化の過程を見ていきます。

 そして、名著といわれる200冊が歴史の中にどう位置づけられ、なぜ著者たちはこのような主張をしているのかを深く理解し、人類の歴史と英知を力に変えていくことを目指します。

 そうして得られる真の読書体験は、重大な選択を迫られた時、危機的な状況に陥った時、人生の岐路に立たされた時に、正解のない問いと向き合うための「一筋の光明」となるはずです。

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