
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大により、「アフターサービス(保守、メンテナンスなどの要員業務)」「アフターパーツ(保守用部品の供給業務)」「アフターセールス(サービスやパーツの販売業務)」などサプライチェーンにおけるアフター領域の重要性が増している。
以前から、産業機械・工作機械・医療機器・事務機や家電などの販売において、アフター領域の重要性が唱えられてきた。本体の売り上げは、業績に占める割合は大きいものの、コモディティー化や競合との価格競争激化によって利幅が少なくなっている。一方で、アフター領域は本体よりも利幅が大きい場合が多いからである。
では、なぜコロナ禍によりアフター領域の重要性が増しているのか。業界により多少状況は異なるが、理由としては大きく次の3点が挙げられる。
1 機器の稼働率の低下・変動によって摩耗・劣化が減少し、買い替え需要が低下している。
2 顧客の業績悪化によって買い替えやメンテナンスの停止が起きている。
3 残業代の削減による収入減少や先行きへの不安によって、消費者が同じものを長く使い続ける傾向が強くなっている。新規需要が減少し、企業にはコスト削減や効率化が求められている。
これらの厳しい状況に対応するために、また、コスト削減などを目的とする取引先変更のリスクを回避するためにも、企業はサプライチェーンの最後に位置するアフター領域のサービスレベルを上げて、顧客との結び付きを強める必要が出てきている。
アフター領域は設計開発領域と並び、「スマイルカーブ」(下図参照)の両端を担う収益性の高い領域として認識されてきた。しかしながら、現在の注目度は設計開発領域よりも高まっている。実際に、産業機械・工作機械の分野で販売後にオプション部品・保守部品の供給で利益を得る仕組みが構築されるなど、公表されている改革事例も増えてきている。
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