また、今回のコロナショックが過去の危機と大きく異なるのは、①リスクの範囲が地理的に1つの地点ではなく世界中であり、かつ時間とともに移動する点と、②各地で同時発生して平常時と緊急時を繰り返す、あたかも生き物のような動きをする点である(下表)。従って、企業のビジネス運営においても、硬直的な事業継続計画(BCP: Business Continuity Plan)のアプローチではカバーしきれない、柔軟かつメリハリのある、きめ細やかな対応が求められる。

近年の危機と比較したコロナショックの特徴
近年の危機と比較したコロナショックの特徴
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コロナ時代に求められるサプライチェーンの要件

 PwCコンサルティングは20年9月、コロナ禍で変わりゆく社会と経済の状況を踏まえ、「アフターコロナ/ウィズコロナ時代のSCM」と題したコラムを緊急公開した。これは、「コロナ時代」の要件に基づき、サプライチェーン全体を見渡した上で冷静に自社を評価し、各種施策の実行を通じて新たなビジネス環境を見据えたグローバルオペレーションを再構築することを提言したものになっている。

 同コラムではコロナ時代に求められるサプライチェーンの要件として、次の5つを紹介した。

1.バリューチェーンシナリオプランニング
サプライチェーン上の潜在的なリスクを想定した、複数のシナリオの継続的な策定と準備、発動と実行、見直しをサイクルとして行う取り組み。あるべきサプライチェーンの姿を考える上での根幹をなす。

2.レジリエンス(強じん性)
有事の際の影響を最小限にとどめ、ビジネスの継続性を高めるための各種代替候補の確保、余剰・冗長性の担保など。

3.アジリティ(敏しょう性)
最新の情報を基にしたサプライヤー・生産拠点・物流経路の地域単位、国単位での切り替えなど、状況の変化に伴うビジネスニーズへの迅速な対応。

4.デジタル(非接触化/省人化)
デジタル技術を活用することによる自動化とリモート対応を通した、サプライチェーンオペレーション上の非接触業務、省人化対応の推進。

5.ソリディティ(硬質性)
新型コロナ対応とバランスを取りながら、サプライチェーンエクセレンスを向上させるためのオペレーションの標準化や高度化、コスト削減の果実を刈り取っていく対応。

 これら5つの要件で構成される「PwC New Normal Value Chain Framework」に基づき現状のアセスメントを行い、不確実性の高い時代に対応したサプライチェーンを再構築していく必要性について提言させていただいた。

コロナ時代に求められるサプライチェーンの5つの要件
コロナ時代に求められるサプライチェーンの5つの要件
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