
2019年に中国の武漢から始まった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な拡大は、サプライチェーンの寸断を引き起こした。日本企業についてもその影響は大きく、特にコスト効率を追求してサプライチェーンのグローバル化を進めてきた業界(自動車、エレクトロニクス、機械、医療用品、食品など)においては、原材料や部品のサプライヤーが全世界に散らばっていることもあり、感染拡大防止のための工場稼働停止と陸・海・空のルート封鎖によって、製品の生産停止と供給の遅れを余儀なくされた。
また、中国やASEAN(東南アジア諸国連合)にサプライヤーを多く抱えている日本企業では、現地の部品生産が止まった影響をダイレクトに受けることになった。幅広い業界において、現地人員の確保や物流経路の確保がままならなくなりサプライヤーからの供給が停止したことを見ることができる。(下表)
各国における新型コロナ感染拡大に端を発したサプライチェーンの川上での寸断は、川下での製品供給不足と、需要の急落を連鎖的に引き起こし、結果として、企業は工場の稼働率低下や販売機会の損失といった事業インパクトを被り、財務面で大きな負のインパクトが生じることになった(下図)。
コロナショックの2つの特徴
近年、日本の経済状況にインパクトがあった危機としては、08年のリーマン・ショックや11年の東日本大震災が挙げられる。経済数値で見てみると、リーマン・ショック後の金融危機による影響がGDP(国内総生産)年率17.9%の減少であったのに対して、新型コロナ第1波の影響をまともに受けた20年4月~6月の国内GDPは前期比7.8%、年率換算で29.3%の減少となり、リーマン・ショックと比較して10ポイント以上の大きなダメージを負っていることが分かる。夏から秋にかけてある程度は盛り返したものの、21年1月には再度の緊急事態宣言措置が取られるなど、予断を許さない状況となっている(下のグラフ)。
Powered by リゾーム?