「不況で整理解雇」もポスト型だから成り立つ

 解雇にはこうした本人の能力によるものとは別に、会社の経営が苦しいから行うもの(整理解雇)があります。この場合も、欧米型のポスト限定雇用であれば、論理的には簡単に契約終了が行えることになります。

 企業は従業員を特定のポストで雇用し、そこから勝手に動かしていないわけです。つまり企業と従業員はそのポストでしかつながっておりません。そうした中で、不況により該当ポストの定員が減らされた場合、雇用終了となっても問題はないと考えるわけです。

 一方、日本は従業員と会社がポストでつながっているわけではありませんでしたね。企業は自由自在に従業員を配置換えでき、しかも、ポストなんて恣意的に数をつくれました。こうした管理をしてきたのだから、今さら一部ポストがなくなったといっても、「他のポストに移してください」もしくは「ポストなんてつくれるでしょ」と裁判所に判断されてしまうわけです(もちろん、雇用者保護が厳しい欧州の場合、整理解雇でも従業員代表との合意や本人への補償など手続きは煩雑ではありますが)。

人事権と解雇権はトレードオフ

 ここまでで、ようやく欧米的な雇用に関する考え方が少し分かっていただけたのではないでしょうか。企業と人は、ポストだけでつながる、ある意味「軽い関係」を築いていて、企業はポストが減れば解雇し、従業員はポストが満杯なら転職するというドライな論理がそこにはあります。

 そして、人事権と解雇権はトレードオフの関係にあることも改めて理解できましたか? 今、ジョブ型を希求する企業は、果たして人事権を手放す腹決めはできているのでしょうか……。

本記事は日経BPのオンラインサイト、Human Capital Onlineの連載「人事の組み立て~脱日本型雇用のトリセツ~」から、一部修正して転載しました。

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人事の組み立て~脱日本型雇用のトリセツ~』(日経BP)

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