日本には解雇を規制する法律などない
さて、日本型雇用の特徴はその入り口が「新卒一括採用」で、出口が「終身雇用」となることにあるわけです。なぜ終身雇用になるか、という理由の一つは「ポストに定員がない」ことです。だから「ポストが満杯で昇進するには転職するしかない」という状況が生まれにくい。そして、ポストに定員がないから必然的に皆昇進し、結果として「年功序列」にもなる。
終身雇用である理由には、もう一つ、「途中での解雇が極めて難しい」ことが挙げられます。さあ、ここで問題です。
実は、日本の法体系は解雇に関して「ザル」であり、厳しい規制や制約、代償の取り決めなどはありません。
まず民法627条に、解雇・退職は労使どちらからいつでもできることが規定されています。これを取り締まるのは、民法1条の「権利濫用の禁止」しかありません。解雇権はあるけど、むやみに使っちゃいけませんよ、とそれだけ。
結果、判例から基準らしきものが出来上がりますが、それとて常識的で曖昧な言葉の羅列です。こうしたカオスを抜け出すために2003年の労働基準法改正、2008年の労働契約法制定で、少しは整理が進みました。
ただそれでも、解雇予告や手当(欧州に比べればとても緩い規定)が定まったことくらいで、あとは「合理的な理由」「社会通念上相当であると認められない」といった歯止め文句しか入っておりません。どの国でも「合理的理由なくクビにしてよい」と書くはずはないので、至って当たり前のことですね。こんなザル状態なのです。
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