いいかげんな方が、生産性は高くなる

 ここまでの話は、上司とお客様が「直接的な」神様になっているので、まだ話が分かりやすいでしょう。もっと複雑になると、以下のような現象を生みます。

 例えば日本人は極端に不良品を嫌います。欧米の場合は、そこまでうるさくはなく、その代わり、返品交換が簡単にできるようになっています。ここにも「お客様は神様」という概念の差があるのでしょう。結果、どのような社会的ムダが起きるか。

 

 仮に、100個に1個不良品があってもよい社会(欧州)と、1000個に1個でないと許さない社会(日本)という対比で考えてみましょう。1%の不良率が許されるなら生産は非常に簡単です。検品なども短時間で済むので、さっさと仕事を終えて帰宅できるでしょう。

 ところが1000個に1個しか許されなくなると、作業中は気を抜けないし、検品も念入りになる。そして不良品の除去と修繕作業が重なる。労働時間はすぐ1割や2割延びてしまいます。で、その結果、生産はどれくらい伸びたか。100個生産したとき、欧米は99個の歩留まりで、日本は99.9個。つまり、0.9個生産が増えただけなのです。労働時間が1~2割延びても、生産は0.9%しか増えないということになる――。

 お分かりですか? お客様に迷惑を掛けてはならない、という信条を突き詰めていくと、労働時間は延び、労働生産性が悪くなるということが。

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