お客様とは対等な関係の欧州

 欧州の場合、例えば17時になったら銀行も役所も、お客様が並んでいても「時間だから」と平気で窓口を閉じます。日本ではそんなことができるでしょうか?

 

 欧州旅行でさんざんな目に遭った人の話は枚挙にいとまがありません。「観光バスが渋滞で遅れたので、行くはずだった予定地を外された」とか「滞在時間が1時間だったはずなのに5分しかいないうちに次へと移動をせかされた」とか。お客様ファーストではなく、働く側の都合で全てがまかり通るのです。

 私も、パリで電車が事故に遭ったとき、駅で降ろされ、代替チケットはもらえず、道案内さえ出ていなかったことがありました。それでも乗客は何一つ文句を言いません。日本なら、チケットの払い戻し、代替チケットの受け渡し、交通機関の紹介、遅延証明の発行などを行い、その上平身低頭するのが駅員の常でしょう。にもかかわらず、日本の乗客は彼らに罵声を浴びせて悪態をついたりするのです。真逆ではないですか? つまり、欧州は「お客様は神様」という考えは薄く、顧客とはあくまでも、金銭とサービスを交換する契約関係でしかありません。

 

 同じように、業績の悪い支店で上司が「これから会議をするぞ」となったとき、日本企業ではそれを拒否できるでしょうか? 欧州なら「戦略を考えるのは上司の仕事でしょ」と言われて当たり前のように拒否されるでしょう。同様に、役員会資料などを作ったときに「あ、ここのところ、言い忘れたことがあるから、書き直しといて」と上司に指示されたら。これも欧米なら「あなたの指示ミスですよね?」となるはずです。いや、それ以前に、日本のように字句・修辞の好みなどで文章を何度も修正させられたりもしないでしょう。

 

 こんな感じで、職場にはお客と上司という二人の神様がいることには誰もが納得してもらえると思います。

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