「付き合い残業」は都市伝説

 ただ、それはあくまでも、水路を作ったということであり、そこに水が流れるかどうかは別問題だと私は考えます。例えば、労働基準法37条1項では、超過勤務に対して割増手当を支払わねばならない、と厳然と決めてあるわけです。これを破ることはすなわち法律違反の犯罪ですね。にもかかわらずサービス残業は後を絶ちません。つまり、「水路は作ったが、水は流れていない」状態というのが眼前にあるわけです。

 

 政治家は得てして水路を作ることに熱心ですが、「どうして水が流れないのか」を解決する方が実務上は大切です。そこを押さえておかねばならないでしょう。

 

 日本人は一体どうして長時間労働をしているのでしょうか。よくいわれるのは、以下のような話です。

・長い会議
・上司へのお付き合い残業
・評価を上げるための「要らない仕事づくり」
・生活費を稼ぐための不要な残業

 ただ、実際に働く人にアンケートを取ると、こうした理由は上位には入りません。

・人手が足りない
・仕事が多すぎる
・突発的に仕事が発生する。
などが残業の主たる理由となります。

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 数年前、BSフジの「プライムニュース」というテレビ番組で長時間労働について特集が組まれたときに、いつものごとく「会議やお付き合い残業」の話が出ました。私もその番組に出ていたのですが、そのときに視聴者からは怒りのメールやファクスが多々寄せられたのです。

 

 「仕事が多くて終わらないんだ。“会議だ”“お付き合いだ”“顔色うかがいだ”と的外れな話を気楽にするな」という内容です。

 そう、確かにごもっとも。仕事が多すぎるから帰れないのが本当の理由でしょう。ではなぜ、そんなにも仕事が多いのでしょうか?? これも、働く人の声によく表れています。

・顧客からの要望
・上司の要望

 私は日本の労働現場には「二人の神様がいる」とよく話します。一人はお客様。そしてもう一人は上司です。この「二神教社会」で働いているからこそ、日本人は家に帰れないのです。

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