日立製作所や富士通など、日本の大手企業が相次いで「ジョブ型」といわれる雇用制度に移行しています。ジョブ型とは、職務内容を明確に定義して人を採用し、仕事の成果で評価し、勤務地やポスト、報酬があらかじめ決まっている雇用形態のこととされます。一方、日本企業はこのジョブ型に対し、新卒一括採用、年功序列、終身雇用で、勤務地やポストは会社が人事権の裁量で決められる雇用形態を取っており、人事の専門家はこれを「メンバーシップ型」と称してきました。

 今、日本企業が進めるメンバーシップ型からジョブ型への移行は何をもたらすのでしょうか。そのジョブ型に対する安易な期待に警鐘を鳴らすのが雇用ジャーナリストの海老原嗣生氏です。同氏は長年展開されてきた「脱・日本型雇用」議論に対し、独自の視点で疑問を投げかけてきました。

 本連載5回目では、4月1日に新著『人事の組み立て~脱日本型雇用のトリセツ~』(日経BP)を上梓した海老原氏が、日経BPのHuman Capital Onlineで続けている連載から、特に人気の高かった記事をピックアップしてお届けします。

 2021年4月7日 (水)、14日(水)には、海老原氏が登壇するウェビナー「日経ビジネスLIVE 雇用のカリスマが斬る『間違いだらけのジョブ型雇用』」も開催します。こちらもぜひご参加ください。本インタビュー記事最後に開催概要を記載しております。

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2000年以降、企業で働く女性は増え、結婚や出産といったライフイベントを経ても仕事を続けるようになった。一方で育休取得率の低さに代表されるように男性の家事負担はなかなか増えない。誰もが階段を上り続けることを強いられる日本では、夫が昇進を選ぶなら、妻は「マミートラック」に入らざるを得ない。

 今回はのっけから質問に入ります。

Q1.欧米では長期育休を取る父親も多いのに、なぜ日本では少ないのでしょう?

「学び、働き、産む」という過重負担が女性にのしかかる

 答えに入る前に、現状をデータで示しておきます。

 育休の男女別取得率(正社員)を見てみると、女性が8~9割の高率で推移しているのに対して、男性は地を這うような低さです。昨今急速に数字が伸びたとはいえ、その割合は5%超。しかし実際はそこまでも行っていないと私は見ています。

 こうした「男性の育休取得率」はインチキをすれば簡単に上げられるからです。例えば、たった1日か2日育休を取っただけでも、それは「取得率」にカウントされるのです。女性がフルに何カ月も育休を取るのに対して、男性は数日しか取らない。それでも取得率は5%にしかならないというのだから、男女差は厳然としていますね。

 もう一つ、こんなデータも見てください。昨今では正社員であれば女性でも、結婚や出産の後も仕事を続けているというデータです。

出所:厚生労働省 雇用均等基本調査

 さらにもう一つ。大学新卒者に占める女性の割合のグラフです。2000年以降、どんどん高まっています。とりわけ、大手中堅企業でその数字はぐんぐん伸び、今ではほぼ男女半々になっているのが分かるでしょう。

 これら3つのデータを合わせると、女性のキャリアはどのようになっていくか、分かりますか?

 大学卒業後、男性並みに就職し、結婚でも出産でも辞めない。ただ、育児は女性ばかりの過重負担となる、ということに他なりません。

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