TypeBの会社は人気企業でも離職率が高い

Q3. 人気はあるのに離職率が高い会社がありますが、どうしてですか?
 

 まず、「OSが決め手で、アプリは少」という会社であれば、若くしてすぐに頭角を現す社員が出てきます。こうした人は、社内の別の事業部に移っても、「アプリは少」でいいために、またすぐトップ争いに加わります。会社としてはこんな人は手放したくありません。そこで、すぐに昇進昇格させることになっていきます。

 一方で、こうした会社では、2~3年働いても成績の悪い人は、その後もなかなか売れる人にはならないでしょう。その理由は、長くいて経験や知識を積んでも、それが業績にはあまり反映しないからです。この「売れる人」「売れない人」はともに全体の中では少数派であり、どちらにも入らない、鳴かず飛ばずの人が多数いることになります。

 こんな感じだと、会社の人事管理はどうなっていくでしょうか?

 まず、入社した人にはきっちり徹底的に2年間、教育・訓練をします。そして売れる人には特別待遇をする。売れない人は、半ば、肩たたき気味になる。そして鳴かず飛ばずの人は、「残っても残らなくてもいい」。そんなマネジメントが業績最大化のための作法となっていくでしょう。

 少しシニカルで嫌な書き方をしますが、その背景にはこんな考えがあるからです。

 あまり数字が上がらない人が辞めたとしても、その穴埋めで採用した人を1年も育成すれば、十分、補てんできる。加えて、フレッシュな人を採用すれば、その中に新たな「売れる人」の原石を見つけられる可能性もある…。

 この作法にしたがって、給与も年功ではなく、売れる人と売れない人に差が付くようになっていきます。そうすることで、売れる人は辞めない、売れない人は辞めるようになっていくからです。

 このスタイルを徹底していくと、「長期滞留者が少なくなり、滞留者が出たとしても給与が上がらない」ということになります。その結果、給与原資を滞留者ではなく、若者に多く配分できるようになります。結果、初任給を思い切り引き上げられます。

 こうして、「初任給が高い」「若くて活躍できる(人が目立つ)」ということで人気企業となり、応募者も増える(その裏で、ダメなら年収は上がらず、早く辞めることになるのですが、多くの夢見がちな若者はこうした不都合な真実には目が行かないところがあります)。

 ちなみにリクルートの場合は、2年間の徹底教育により、KPI(重要業績評価指標)による業務管理や、仕事の手順化・仕組み化、そして、担当業界の専門知識などを覚えられます。こうした知識のパッケージがあるので、業績が上がらず辞めた人も、独立したり他社に転職したりした後、活躍できています。そういうわけで、辞めた後も悪く言う人が少ないのでしょう。

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