若くして羽ばたける会社、大器晩成型の会社
続いてキャリアの形を考える2つ目の問題です。
私のいたリクルートなどもそうで、よく2年目の社員が全社年間MVPなどになっておりました。対してメガバンクなどでは同期で一番早く支店長になった場合でも、20代ということはまずあり得ません。30代前半でも相当レアでしょう。どうして、こんな違いが出るのでしょうか?
早期昇進の理由を「歴史が浅くて人材不足だから」などと考えるのは誤りです。リクルートはかれこれ60年の歴史がありますし、グループには万単位の従業員がいます。
その他の理由としては「社風が異なるから」などと言われますが、そんな雰囲気だけで経営などできないでしょう。もっと合理的に説明できるのが、「キャリアの類型」なんですね。
世の中には、OSさえ優れていれば、アプリケーションはほとんど要らないような型のキャリアが存在します。リクルートはその典型でしょう。例えば、転職エージェントとしての知識は2年も携わればそのほとんどを熟知できます。だから2年目の社員がMVPになれるのです。
一方で、金融の知識は2年じゃまだ初歩の初歩でしょう。その頃は色々な資格を取って個人融資業務を卒業し、ようやく中小企業相手に小口の法人融資を始めるか、というくらいの頃合いとなります。その後、中堅法人を担当して協調融資を覚え、手形の期間が長くなって次第に直接融資に近くなり、その後に準大手を担当して株式や社債を覚え…。
こんな感じで一歩一歩階段を上っていかないと、大口の法人融資は難しいでしょう。つまり、膨大なアプリケーションが必要な仕事なのです。だから、それを培うために、時間がかかります。
この「OSが決め手で、アプリは少」「OSも重要だが、それにもまして膨大なアプリが必要」というのが、まずは2つのキャリア類型だと思ってください。
さらにもう1つ「OSもアプリも、そこそこ」という類型があります。これで、3つのキャリア類型となります。
人事管理や人事戦略は、それぞれの類型により全く違ったものが必要です。
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