全国で旅館やホテルを運営する星野リゾートの星野佳路代表と40万部超ヒットの『人新世の「資本論」』著者、斎藤幸平氏が対談。後編では脱成長、スローダウンに向けて「では何をすべきか」を話し合った。
(前編はこちら)

星野氏:私は経済学や経営学を学び、実際の経営も行ってきました。その中では、成長することは当然目指すべき方向であり、それが言ってみれば信仰のようになっています。斎藤先生は脱成長を主張していますが、これは「信仰を変えろ」と言われているようなもので、ものすごく抵抗感があります。もっと言えば「思考停止になる」し、「あり得ない」と思ってしまいます。
私のように企業を経営する立場からすると、「成長せずに企業を維持する」とはどういうことなのか、そこまで考えが至らないのです。成長に対する信仰は捨て切れないところがあると思います。斎藤先生の言う脱成長とはどのような世界なのでしょうか。私は社員の生活の向上や給与を高めていきたいと考えていますが、どうやって成長なくしてそれを実現するか。それが次の段階での私のテーマになっています。
斎藤氏:ホテルは建物をつくった段階で宿泊できる人数は決まります。もちろん、宿泊者1人当たりの消費を増やすことはできるかもしれませんが、いずれ成長の限界に当たらざるを得なくなります。ここからさらに新しいホテルを建設し続け、もっとお金を使ってくれる海外からの富裕層にかじを切る成長路線に向かうのか。閑散期にしっかり地元の人に来てもらいながらマイクロツーリズムを進めていくのか。どちらの路線を取るかで目標やその先が違ってくると思います。
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