星野リゾートの星野佳路代表と、ユニークなビジネスモデルで注目のスタートアップ、カブクスタイル(長崎市)の砂田憲治代表、同社共同創業者の大瀬良亮氏が対談。アフターコロナや中長期的な観光業の課題にどう臨むかを語り合った。星野代表はカブクスタイルが示す「未知の旅行市場」に注目する。

星野佳路氏(左)とカブクスタイルの砂田憲治代表(中)、同社共同創業者の大瀬良亮氏(右)(写真:栗原克己)
星野佳路氏(左)とカブクスタイルの砂田憲治代表(中)、同社共同創業者の大瀬良亮氏(右)(写真:栗原克己)

観光が復活しつつあります。

星野佳路氏(以下、星野氏):大きな出来事があると「100年に1回のことだ」といわれがちだ。しかし、振り返れば、私が1991年に星野リゾートの経営を引き継いでからだけでも、バブル崩壊とその後の不良債権の処理問題、リーマン・ショック、東日本大震災、そして今回のコロナ禍など、数年に1回ほどのペースで大きなことが起きている。まず、それまでに経験したことのないような出来事も、実はそれなりのペースで起きることを改めて知っておいたほうがいいだろう。

 星野リゾートについていえば、平時に比べ、いろいろな危機が来るたびに運営の依頼が増え、手掛ける施設数も増える傾向にある。コロナ禍はほかの出来事に比べると期間が長かったことから、施設数はこれまでで一番大きく伸びている。

 コロナ禍における特徴についてもう1ついえば、どんな手を打つかによってその後の状況に違いがあったことだ。例えば東日本大震災の場合、その後も福島の原発事故の影響があったことから、手を打とうとしても具体的に何をすべきか、想像力を発揮できなかった印象がある。あのときは、ひたすら待つしかなかった。

 それに比べると、コロナ禍はもちろん大変だったが――打ち手によって差が出た面があると思う。星野リゾートでは20年4月に「18カ月サバイバルプラン」を立て、マイクロツーリズム(近場の旅行)などに積極的に取り組み成果を上げてきた。

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