星野リゾートの星野佳路代表へのインタビューを2回に分けて掲載する。京都で新たに3施設を運営することをこのほど発表した星野リゾート。福岡でもグループで外資系ホテルの経営権の取得を発表するなど、アフターコロナも見据えながら成長戦略を練る。今後の動向を含めて星野佳路代表に聞いた(1回目はこちら

アフターコロナを見据えて語る星野リゾートの星野佳路代表(写真:船戸俊一)

宿泊業界は東京オリンピック・パラリンピック後に客室数が過剰になると見込まれていました。ここにコロナ禍が重なり、大きな構造変化が生じるのではないかといわれます。

星野佳路氏(以下、星野氏):ホテル業界について世界の発展の歴史を見ると、気づくのは供給過剰と供給不足を繰り返していることだ。なかなか需要の伸びに供給量の伸びがちょうど合う状況にはならない。

 景気がいいときには多くの事業者が同じようにホテルをつくる。すると供給過剰になり、やがて淘汰が起きる。それによって古くなった施設のリノベーションにつながるから、供給過剰は決して悪いことではない。ある程度の期間で供給過剰と供給不足を繰り返しながらホテル業界は新陳代謝している。こうしたプロセスがホテル業界の発展のためには必要だと思う。

 それでも日本で供給過剰になるのは久しぶりだ。最近は日経平均株価が3万円を超え何十年ぶりに高い水準といわれるが、ホテルの供給過剰はバブル期が終わってから初めてではないか。今回は景気動向だけでなく、コロナ禍という特殊な事情による需要の落ち込みも重なっている。

 詳しく見ると、地域ごとにだいぶ様子が違う。例えば大阪はビジネスホテルが供給過剰といえるほど激増してきたし、京都でも施設数が急激に増加していた。このため、関西ではコロナ禍前から供給過剰感が出ていた。

 一方、関東はコロナ禍前には過剰感が出ていなかったと捉えている。それでも計画上は施設数がまだまだ増えていくことになっている。このため、今後についてはまだはっきりと分からない。

「需要の少ない状態には慣れている」

宿泊施設の供給過剰に対して、星野リゾートはどう臨みますか。

星野氏:私がトップに就いたのは1991年だった。バブルの崩壊や不良債権処理などのために日本のリゾート地は供給過剰がずっと続いており、需要の少ない状態に慣れている。そして例えば不良債権処理の流れの中でアルツ磐梯(福島県磐梯町)などの再生案件を引き受けたし、リーマン・ショックのときも、いろいろな案件を運営して収益を改善してきた。

 振り返れば「需要があるからホテルをつくる」でないことが多かった。むしろ、運営が行き詰まった施設を再生するために、サービスを差異化したり魅力を高めたりしながら新たな需要をつくってきた。

 需要が不足する中で長くリゾートを運営してきたし、今後はこれを都市でもやっていくことになるだろう。都市部においても、差異化されていないホテルの運営を任せていただき、泊まりたい需要をつくりだすのが私たちの仕事だ。

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