星野リゾートは身近な場所を旅するマイクロツーリズムに力を入れてきた。それでもこの取り組みをスタートした20年6月、7月は3密回避の対策やマイクロツーリズムならではの提案のために少し慌てた。一方、21年は前回の蓄積があるし、マイクロツーリズムについてスタッフはよく理解している。経験値が上がっており、21年の緊急事態宣言では慌てずスムーズにマイクロツーリズムをさらに強化する態勢に入った。

マイクロツーリズムという言葉自体、広まった印象があります。

星野氏:例えば、九州の顧客は九州内の旅行にシフトし、界阿蘇(大分県九重町)は業績が比較的、順調に推移している。九州の観光はもともと首都圏への依存がそれほど大きくない。軽井沢にとっての東京と阿蘇にとっての東京はやはり違いがある。九州内での旅行の需要が相当あり、マイクロツーリズムによって需要を獲得できているのが大きい。

 また、トマム(北海道占冠村)では、半分ほどがマイクロツーリズム関連となっている。台湾では星のやグーグァンが絶好調だ。これは台湾の外に観光に出かける人がいなくなった分、台湾内での観光にシフトしているためだ。

国内をマイクロツーリズムの商圏によって11のエリアに分ける

 マイクロツーリズムについては20年の宣言解除後の反省も生きている。前回はこのマーケットに対してリーチする方法があまりなかった。今回は新たに全国各地の地元向けの雑誌などに対してQRコード付きの広告を掲載している。

 QRコードからは星野リゾートのウェブサイトにリンクしているが、リンク先は雑誌の発行エリアによって違う。

 例えば北海道の雑誌のQRコードは北海道にあるトマム、OMO7旭川(北海道旭川市)の施設の情報を掲載したページにつながっているし、北関東の雑誌のQRコードは界日光(栃木県日光市)やリゾナーレ那須(同県那須町)といった施設の情報を掲載したページにつながっている。国内をマイクロツーリズムの商圏によって11のエリアに分けており、車で2時間ほどで訪問できる施設を表示する。こうした体制を20年の秋以降、準備してきた。概念を理解し、魅力を整え、予約方法も整備。マイクロツーリズムという言葉もそれなりに浸透している。

OMO7旭川は北海道でのマイクロツーリズムに力を入れる。人気の旭川市旭山動物園をイメージした客室「シロクマルーム」も2020年10月に開設(写真:船戸俊一)
OMO7旭川は北海道でのマイクロツーリズムに力を入れる。人気の旭川市旭山動物園をイメージした客室「シロクマルーム」も2020年10月に開設(写真:船戸俊一)

マイクロツーリズムも含め、2020年4月から「18カ月間プラン」でコロナ禍に対応してきました。

星野氏:会社を維持できるようにしようと急ピッチで準備し、いろいろな手を打ってきた。1年ほどが経過し、今では効果のあるワクチンが登場し、接種が始まっている。20年4月からしたら考えられないような事態であり、明るいニュースだと捉えている。重症者の大半である年齢の高い人らへのワクチン接種が終われば、社会全体が今よりも落ち着いて状況を捉えるのではないか。

 ワクチン接種は夏ごろから年齢の高い人ら以外、一般の人にも始まる計画となっている。夏休み後にワクチンがある程度の人数分、接種されるだろう。当初想定した18カ月はちょうどそのころまでであり、結果的にコロナ禍からアフターコロナといえる状態になればいいと考えている。

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