世界的な経営学者フィリップ・コトラー氏と星野リゾートの星野佳路代表がリモートで対談。経営学の教科書についての考え方から株主資本主義とステークホルダー資本主義、コロナ禍によるマーケティングの変化など、幅広いテーマについて語り合った。

星野佳路氏(左)とフィリップ・コトラー氏(写真左:栗原克己)
星野佳路氏(左)とフィリップ・コトラー氏(写真左:栗原克己)

星野佳路氏(以下、星野氏):ホスピタリティ・ビジネスの中にいる限り、マーケティングを理解していなければいけないのは当然のことですが、星野リゾートが他社と違うのは、私が学んだマーケティング理論を忠実に実行していることだと思います。マーケティング理論に従った厳しい方法でテストをしており、その結果からどんな手を打つべきかを考えています。

 私がマーケティング理論を重視するのは直面している問題を解決してくれる可能性があるからです。このため実正された理論が書かれた教科書を読み、教科書どおりにやってみます。「教科書どおり」の取り組みは星野リゾートにとって非常に重要な戦略になっています。

 多くのビジネスパーソンは理論を読んで理解して知識として持っているだけで、それを実行していません。これだとエンターテインメントを読むのと同じです。一方、星野リゾートにとって経営学の理論は教科書であり、私は理論をビジネスのマニュアルと考えています。

フィリップ・コトラー氏(以下、コトラー氏):今のお話を聞いて、私が企業と仕事をする場合についてお話ししたいと思います。

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