パソコンメーカーのVAIO(長野県安曇野市)は法人向け市場への転換を成功させて復活を果たした(6年ぶり刷新の「VAIO Z」は独り立ちの証し、地道な変革が結実)。とはいえ、パソコン自体はこれから大きく伸びる市場ではない。企業として成長するためには、VAIO設立当初からの目標だったパソコン以外の柱の構築が欠かせない。

長野県安曇野市にあるVAIOの本社

 「数々の革新的な商品を生み出してきたソニーのDNAがあるはずなのに、なぜ新しいことに興味を持たないのか」

 VAIOの社長を務める日本産業パートナーズ(JIP、東京・千代田)出身の山本知弘氏は、2015年に社外取締役としてVAIOの経営を見るようになってから、こんな歯がゆい思いを抱いてきたという。

 14年の設立当初から新規事業への進出を目標に掲げていたVAIO。かつて「AIBO(アイボ)」などのソニーのロボットを製造したことでも知られる安曇野の工場のノウハウを生かすべく、15年にEMS(電子機器の受託製造サービス)事業を開始した。トヨタ自動車や富士ソフト、バンダイなどからロボットの開発や製造を受託し、それなりの利益も上げてきた。

 とはいえ、あくまでも下請けとして製造を担当している状況だった。ロボットの市場は今後伸びる可能性があるのに、主体的にかかわろうとしない。山本氏はそこにもったいなさを感じていたのだ。

 19年6月に副社長としてVAIOの経営に本格的に参加した山本氏は、デル日本法人のマーケティング責任者やレノボ・ジャパンおよびNECパーソナルコンピュータの社長を歴任した留目真伸氏をCINO(チーフイノベーションオフィサー)として招へいした。外部の視点を入れながら新規事業を立ち上げる役割を期待しての起用だ。

 山本氏は19年8月に社長に就任するとすぐ、新規事業全般を担ってきたNB(ニュービジネス)事業部を解体し、EMS事業本部とイノベーション本部に分離。EMS事業は継続しつつも、VAIOが主体となって新たなビジネスに取り組むという社内外への宣言だった。

続きを読む 2/3 「本当に赤字が許容されるのか」

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