ヒット商品「羽根つき焼きおにぎり」
ぬま田海苔は加工品の開発やワークショップなど、海苔業界にとどまらないコラボレーションも話題になっています。
店頭では試食に説明を加え、好みの味を見つけるスタイル。そこで気に入った海苔を見つけたお客さんはECサイトで購入することもできます。ECでのヒット商品が「羽根つき焼きおにぎり」です。
冷凍状態のおにぎりを600wの電子レンジで1分40秒温めるだけ。食べる直前に海苔でぐるりと挟めば簡単に食べられ、かりっとしたおにぎりとぱりっとした海苔の食感を同時に味わえる、という商品です。

台東区にある羽根つき焼きおにぎり専門店“gao”(ガオ)とのコラボ商品で、現在はぬま田海苔で製造し、販売しています。海苔屋さんがおにぎりを販売する、というのはレアなケースですが、コロナ禍で売り上げは好調であり、ECは昨年対比40%の売り上げ増となりました。
他にも老舗のせんべい店、富士見堂とコラボし、自分で巻く「海苔せんべい」なども販売していますが、こうした海苔屋さんならではの商品を発信することで沼田海苔さんは「消費者が海苔に触れる機会」をつくっているといえます。
「これらの試みで、もっと広く、海苔の味と生産者さんたちの努力を知ってもらいたいです」
産地とダイレクトにつながることができる海苔販売を続ける沼田さんの根底には「海苔愛」があります。食べ物のおいしさは「これがおいしいですよ」と言うだけでは伝わりません。海苔も炊きたてのご飯に合わせたり、焼きたての餅に巻いたりと他の食べ物と組み合わせることで、初めてその魅力が伝わるのです。

コロナ禍が落ち着けばインバウンドは回復するでしょう。そのときに日本の味は人を呼ぶ資源になります。とはいえ、その前に日本人自身がその良さを知っておいたほうがよさそう。なにより皆さんに「おいしい海苔」を食べてほしいと私は思います。
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