日本には、その土地の気候風土に根差した個性豊かな食材がたくさんあり、その裏には、必ずそれに携わった作り手がいます。私は、農林水産省で働きつつ、休日はそのおいしさの源である産地へ出向き、作り手の声に耳を傾けた上で、その食材を料理し、伝えることをライフワークとしています。この連載では、まだまだ知られていないおいしい食材を一つひとつひもときながら、レシピと共にお伝えします。

 第4回のテーマは「日本茶」。

 ちょうど今は新茶が出回る季節。強い太陽光をあまり浴びていない時期に収穫される新茶の葉はやわらかく、うま味の成分であるテアニンも豊富。渋味が少なく、みずみずしいので昔から貴ばれてきました。

まろやかで渋みの少ない新茶
まろやかで渋みの少ない新茶

 しかし、昨今は新茶と聞いてもあまりピンとこない人が多くなってしまったのではないでしょうか? お茶といえば贈答品に使うくらいで、普段飲むのはペットボトルの緑茶というのが一般的なところ……。

 ところがこの緑茶に様々な可能性を見出し、付加価値を生んでいる若手がいます。狭山茶で有名な埼玉県入間市の「的場園製茶工場」の4代目、的場龍太郎さんがその人。いろいろなことに取り組んでいる彼ですが、中でも私がユニークに感じたのは「日本茶」×「サウナ」の組み合わせ! 一見、関係なさそうなこの2つに一体、どんなつながりがあるのでしょうか?

若者たちにも人気のサウナ
若者たちにも人気のサウナ

 数年前から話題になっているサウナ。それを題材にしたテレビドラマの放映などもあって「サウナー」や「サ活」などのワードも耳にする機会が増えました。次から次へと新形態の施設がオープンし、女性のサウナーも増えています。施設内におしゃれなレストランが併設されていたり、スタイリッシュなグッズも増えたりしていることから、昔よりも断然入りやすくなったと感じます(かくいう私も実はサウナ好きです)。

 2020年、様々なイベントや旅行などが制限される中でも、SNSなどで連日サウナについての投稿がされているのを見かけました。「1人でサウナに行って静かに過ごしたい」という人も増えており、完全個室の「お一人様用サウナ」なども人気を集めています。

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