学習のゴールを明確にすることが重要
聞き取りのポイントは、英語の音の変化のルールを体得すること。ここまで見てきたように、(1)英語の音の変化のルールを知る、(2)リスニングしながら音の変化のルールを文字でも確認する、(3)音の変化をとらえながらシャドーイング――の3段階で身に付けていきましょう。これらの学習方法を踏めば、つながったり、省略したりしている英語の音声を聞いたり発音したりすることはマスターできるでしょう。
しかし、それとは別に、Dさんの質問には気になる点があります。
TOEIC800点とIELTS8.0を数値的なゴールとして設定している点です。なぜならば、TOEIC800点のレベルとIELTS8.0のレベルはまったく違うからです。TOEICで800点を取るほうがIELTS8.0を取るよりはるかに容易です。
TOEIC800点であれば、今回説明した方法でリスニングを学習し、TOEIC対策の単語集と文法問題集をやって過去問を解けば、数カ月で達成できると思います。しかし、IELTS8.0は、英語のネイティブ話者とほぼ同等レベルです。IELTSは英語のネイティブ話者が受験しても8.0や8.5程度で満点の9.0を取ることは難しいくらいです。現在のレベルからだと、数年はかかると思います。
このようなことを踏まえ、Dさんの効果的な学習プログラムをデザインするためには、「ゴールを明確にすること」が重要です。特に、Dさんが英語を使う場面として挙げていた「海外からの観光客が来店したとき」に英語でコミュニケーションを取れることをゴールとするのであれば、必ずしもTOEIC800点やIELTS8.0を数値目標に設定する必要はないかもしれません。
もちろん社内の規定でTOEIC800点を取る必要がある場合や、将来、ハーバードやオックスフォードなどの大学院に行きたいからIELTSで7.5程度(この場合でも特殊な場合を除き8.0は要求されないと思います)を取りたい、ということであれば、その数値目標も必要になるでしょう。
前半の学習方法に加え、まずは英語学習のゴールを自分のキャリアプランとよく照らし合わせて決めることが、効率的に英語学習をするために重要だと思います。ぜひこの機会に検討してみてください。応援しています。
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