この連載では、英語コーチング・プログラム「TORAIZ(トライズ)」の約6000人の受講生のデータと学習工学に基づき、最小の努力によって最短で英語の学習目標を達成するためのノウハウを受講生や読者の皆様からの質問に答える形でお伝えしていきます。コメント欄でビジネス英語について何でもご質問ください。

 それでは今回も質問にお答えしていきたいと思います。

[今回の質問]

IT企業勤務 Yさん(26歳)
 業務上、将来は英語が間違いなく必要で、この連載で出てきた方法を参考に色々と取り組んできましたが、どうしても長続きしません。リモートワークになって時間にある程度余裕があり、自由度が高いのはよいのですが、逆にやる気が出ません。どうしたら継続できるでしょうか。

[回答]
 Yさん、新型コロナウイルスの感染拡大以降、非常に多い相談です。人にはそれぞれ向いている学習のタイプがあり(参考:大人になってから英語の発音を矯正するのは難しいけれど……)、特に「体感覚型」の人は、一人でじっと机に向かうのではなく、人と話をするといったことで学習意欲が高まるタイプです。おそらくYさんも体感覚型の人なのかもしれません。また、自宅でのリモートワークでどうもやる気が起きないという人も多いです。

 こうした人に、まず私がお勧めしたいのは、家族と同居している人は家族に「私は、3カ月後にこの英語の資格試験を受けるので、今から毎日3時間英語を勉強する」などと期限や学習時間の数字を入れて「宣言」することです。

 人によっては英語を学習していることを知られるのが恥ずかしくて、家族に秘密にしている人もいます。また、万が一資格試験で落ちたり、期待しているスコアが取れなかったりしたら格好が悪いと思っているかもしれません。しかし、家族に黙っているのはあまり得策ではありません。英語学習は家族にも何らかの負担を与える可能性がありますし、協力を得ることもできなくなるからです。

 例えば、英語学習のために、週末にドライブに行くといったことが難しくなるかもしれません。しかし、「3カ月間は英語学習に集中する」と期限を明確にして宣言すれば、家族も理解し、協力してくれるでしょう。また、家族に宣言してしまった手前、自身としてはより一層真剣に学習せざるを得ないでしょう。家族に宣言することは、一石二鳥の効果があるのです。

 もし家族と同居していない場合には、SNS(交流サイト)などで「1年で英語を使ってビジネスできるように英語学習を頑張ります!」「7月の英語の資格試験を受けます!」などと「宣言」してしまうのもよい方法です。

 TORAIZでも、無理にではありませんがSNSで「1年1000時間、1日3時間の英語学習をする」と発表することをお勧めしています。そして、日々達成していることをやはりSNS上で報告をしてもらっています。

 恥ずかしいからと発表しない人もいます。ただ、発表している人にはある特徴があります。それは、数字で結果を出し、ビジネスで成功してそれなりのポジションにいる人です。例えば、外資系I T企業に勤務していて、ビジネスパーソンとしての実績があり、英語を話すことができればカントリーマネジャーなどさらに上を狙えるといった人です。おそらく、そういった人は常に高い数字を追う中で自分自身を追い込んでストレッチして成長してきた実感があるのだと思います。

 筆者もこうした人のSNSを見ることがあります。「英語学習開始しました!」などと宣言をすると、たいてい知り合いなどからから「頑張ってください」「本当に話せるようになったら、私もやります」などと様々な返信が書き込まれています。それに対し、宣言した本人が「頑張る!」「ペラペラになっても驚くなよ!」などと返していて、こうしたやり取りの中でますます英語学習に対して意欲が高まることが感じ取れます。また、ここまでやると、途中でギブアップするとメンツが丸潰れになるのでやるしかないと言えるでしょう。また、日々学習状況を報告しているとフィードバックも受けるので、学習の継続性は飛躍的に高まります。

 そして、このようなタイプの人は学習の成果も着実に上げて、次のポジションにステップアップしています。

次ページ 「宣言」して成功してきたソフトバンクの孫正義氏