今回も前回に引き続き、10月13日に開催された日経BP主催のイベント「ヒューマンキャピタル/ラーニングイノベーション2021」での、SozoVenturesファウンダー/マネージングディレクターである中村幸一郎氏との対談をお届けしたいと思います。

(前回の記事:日本のビジネスパーソンが海外で交渉に勝つための3条件

<span class="fontBold">中村幸一郎(なかむら・こういちろう)氏</span><br />SozoVenturesファウンダー/マネージングディレクター。米誌フォーブスが発表している世界で最も高い実績を誇るベンチャー投資家のランキング「ミダスリスト(The Midas list)」2021年版に日本人として初めてトップ100にランクインした。
中村幸一郎(なかむら・こういちろう)氏
SozoVenturesファウンダー/マネージングディレクター。米誌フォーブスが発表している世界で最も高い実績を誇るベンチャー投資家のランキング「ミダスリスト(The Midas list)」2021年版に日本人として初めてトップ100にランクインした。

日本人がグローバルに活躍するために英語力が大きな課題となっていますが、発音の正確性、語彙力、表現力を含め、どの程度のスキルが必要でしょうか。最低限の語学力とマインドセットの重要性を教えていただけますか。

中村幸一郎氏(以下、中村氏):長女が小学校2年生、次女が幼稚園のときに渡米したのですが、子供たちが周りと遜色なく授業が受けられるようになるまで5年程度かかりました。ですから、数カ月でキャッチアップできるというのは間違っています。

 ただ、娘が中学生になった頃には、大学院まで行った私よりはるかに英語力が上であることにはびっくりしました。恐らく、私の10倍近い語彙力を持っています。それは越えられない壁です。ネイティブレベルになった娘とは圧倒的に語彙力が違い、その上に発音があると思います。言葉の基礎体力が全く違い、それは簡単にキャッチアップできるものではありません。

 私自身は高校生のときに、メキシコから来た生徒の多い地域へ留学したのですが、会話のキャッチボールを素早く行うスキルを学びました。伝えたいアイデアを単純化して、ごく単純なセンテンスでブツブツと話す。その代わり、速く言葉を返すというようなトレーニングです。誤解はありませんし、会話にも付いていけますが、相手から見ればネイティブとは思えないでしょう。しかし、1年ほどトレーニングすれば意思疎通には問題ないレベルに到達します。問題は、そこで慣れてしまうと、それ以上、英語力は上がらないということです。

 「語学力」と「マインドセット」のどちらが重要かというご質問にお答えするとしたら、思考スピードやコミュニケーション力がベースにあれば、語学力に頼らなくても、困らないレベルにまではなると考えています。

中村さんは日本企業の研修状況もご存じだと思います。現在の企業研修を変える、あるいはさらに積み上げるポイントについて、具体的なご提言はありますか。

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