今回は英語学習から少し離れ、10月13日に開催された日経BP主催のイベント「ヒューマンキャピタル/ラーニングイノベーション2021」での、Sozo Venturesファウンダー/マネージングディレクターである中村幸一郎氏との対談をお届けしたいと思います。

 中村さんは、ヤフージャパンの創業に関わり、米ツイッター、米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ、著名な企業家・投資家であるピーター・ティール率いるビッグデータ企業・米パランティア・テクノロジーズへの投資で知られる、Sozo Venturesのファウンダーです。また、米誌フォーブスが発表している世界で最も高い実績を誇るベンチャー投資家のランキング「ミダスリスト(The Midas list)」2021年版に日本人として初めてトップ100にランクインしています。

 中村さんのお話には、日本人や日本企業が海外で活躍するためのたくさんのヒントがありました。

Sozo Venturesファウンダー/マネージング ディレクターの中村幸一郎氏
Sozo Venturesファウンダー/マネージング ディレクターの中村幸一郎氏

まずは中村さんがどのような方なのか、自己紹介をお願いできますでしょうか。

中村幸一郎氏(以下、中村氏):私はSozo Venturesというベンチャーキャピタルファンドを立ち上げ、共同創業者として運営しています。

 Sozo Venturesは、米国市場でトップになった会社をグローバル市場に連れて行くという役割で投資機会を獲得しています。これまでツイッターや(オンライン決済の)米スクエア、ズームなど、最近ですと米コインベース、パランティア・テクノロジーといった会社に投資をして、日本展開とグローバル展開をサポートしています。

 このファンドを一緒につくったのがフィル・ウィックハムという共同創業者です。彼はカウフマン・フェローズ・プログラムという、ベンチャーキャピタルの次世代リーダーを教育する機関の代表を10年近く務めた人間です。

 日本では、カウフマン財団、カウフマン・フェローズ・プログラムについてご存じない方も多いかもしれませんが、アントレプレナーシップ教育を大学のカリキュラムにするために多大な貢献をしており、米国の主要大学の起業家教育センターをつくったことで知られている、運用資産2兆円を超える世界最大級の教育財団です。

 カウフマン財団の次世代リーダー育成プログラムとしてスピンアウトしたものがカウフマン・フェローズ・プログラムです。30年近くの歴史があって、毎年40人ぐらいのフェローが世界中から選ばれます。多くのフェロー出身者が主要なファンドやコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)の代表パートナーを務めています。

中村さんはもともとは三菱商事で働いていたそうですね。三菱商事を辞めて、米国で事業を起こした理由を教えてください。

中村氏:三菱商事は、素晴らしい会社で、色々とチャンスをいただいたことには感謝しかありません。ただ、ちょうど私がSozo Venturesを始める前後の時期は、国際展開をした会社が、その後に上場をする時代だったんです。

 グローバル展開をサポートするベンチャーキャピタルに大きなチャンスがあり、そのチャンスを生かして創業するために米国に来て、カウフマン・フェローズ・プログラムの代表とファンドを始めました。

三菱商事のビジネスパーソンとしての経験もお持ちですし、米国での起業家や投資家としての経験もお持ちです。日米の文化の違いを感じることもあるのではないでしょうか。

中村氏:1つ目は、コンテンツ(中身)とコンテクスト(文脈)です。米国では文脈をきちんと読むことが非常に大事で、会話は成り立っていても、背景にある考え方の部分で合意できていないと、そこから話がうまく進みません。ですので、コンテンツだけではなくて、コンテクストをしっかりと理解することが大事だと思います。

 2つ目は、話題のメッシュのサイズをちゃんと合わせることです。これは日本文化の特徴ですし言語的なものもあると思いますが、日本語だと大上段に論じたり具体的な話をしたり、行ったり来たりします。米国人を相手にこのような話し方をすると非常に混乱します。ですから、そうならないように筋道を立てて同じメッシュで話をすることを心掛けています。

 3つ目は、最初が肝心ということです。どの会社の打ち合わせに行っても、最初の5分で値踏みされます。投資交渉の最初の5分間でパンチを効かせられるように、切り口をきちんと調べて考えておくことが大事です。日本ではいろいろな議論に参加する中で最後までリカバリーのチャンスがあるのですが、米国では、最初の5分間でうまくいかないと、相手はすぐに携帯を見始めて、議論に参加しなくなってしまう。この点はすごく大事だと思っています。