この連載では、英語コーチング・プログラム「TORAIZ(トライズ)」の約6000人の受講生のデータと学習工学に基づき、最小の努力によって最短で英語の学習目標を達成するためのノウハウを受講生や読者の皆様からの質問に答える形でお伝えしていきます。コメント欄でビジネス英語について何でもご質問ください。

 それでは今回も質問にお答えしていきたいと思います。

[今回の質問]

外資系IT企業勤務 Tさん(33歳)
 私の会社は、英語での会議があり、現在は私の上司が会議でのファシリテーションをしています。将来的には私がファシリテーションするようにと上司から言われています。私としては、英語力に課題があると思っていて、英語でファシリテーションをすることがとても負担に感じ、気が重いです。英語でファシリテーションをするためのコツがあれば教えてください。

[回答]
 確かに英語でファシリテーションするのは気が重いですよね。ミーティングで期待されるアウトプットを出せるかどうかは、その会議のファシリテーターにかかっていますし、失敗するとそのチームの中での評価にも関わってきます。

 ファシリテーションの、もともとの単語としての意味は「〈活動などを〉容易にすること、楽にすること、〈人を〉手助けすること」です。ビジネスで使う場合には意味が狭まり、一定以上の人数で会議を行う場合にアウトプットを出すためのサポートをすることを指す場合が多いようです。

 私の理解としては、ファシリテーションとは単なる司会でなく、会議の参加者一人ひとりの持つ知識や知恵を可能な限り引き出して、会議のアウトプットの最大化を図る活動ですから、会議参加者へのグループコーチングだと思います。

(写真:PIXTA)
(写真:PIXTA)

 英語力も含めて英語でのファシリテーターとして素晴らしいと思ったのは、以前、私の上司だったソフトバンクグループの孫正義会長兼社長です。現在ソフトバンクグループの中枢幹部のミーティングは英語で行われているのですが、「孫正義式ファシリテーション」は、英語で会議する場合にこそ、その力を発揮すると言えます。ソフトバンクグループの快進撃は孫会長のプレゼンテーション能力と同時に、ファシリテーション能力によると言ってもいいでしょう。

 孫正義式ファシリテーションの最も大事なポイントは、孫会長自身による徹底した「見える化」です。

 孫会長の会議は、必ずホワイトボードとプロジェクターを使います。もし海外のホテルなどでホワイトボードがない場合であれば、フリップチャートを使います。フリップチャートとは、巨大なメモパッドが三脚に乗ったようなものです。ペンで書いては用紙をめくって使っていきます。

 会議が始めると、孫会長はテーブルに座るのでなく、ホワイトボードもしくはフリップチャートの横に自分でペンを持って立ちます。これは、会議のファシリテーションをするのが孫会長であることを参加者に対して明確に示すことになるだけでなく、ファシリテーターが立って身ぶりや手ぶりをしながらファシリテーションをすることが、会議のテンションを高め、参加者のやる気を起こすことにつながると思います。議論が白熱するとホワイトボードの前に参加者も集まって図を描きながら議論することもあります。

 また、あるテーマについての会議の初回であれば孫会長の問題意識を自分の口で説明しながら図解していきます。すでに何度か議論しているテーマであれば、過去の議論をまとめたプレゼンテーションがプロジェクターで投映されます。これにより、そのミーティングのテーマと議論するための前提の情報を参加者全員が確認するのです。

 場合によっては会議のルールをここで明確にする場合もあります。例えば、自分のアイデアをメモパッドに書く際、席が隣り合った人と相談せずに一人で黙って行うことといった具合です。

続きを読む 2/2 発言を図解していくことが重要

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