この連載では、英語コーチング・プログラム「TORAIZ(トライズ)」の5000人を超える受講生のデータと学習工学に基づき、最小の努力によって最短で英語の学習目標を達成するためのノウハウを受講生や読者の皆様からの質問に答える形でお伝えしています。コメント欄でビジネス英語についてなんでもご質問ください。

 それでは今回も質問にお答えしていきたいと思います。

[今回の質問]

金融機関勤務 Nさん(38歳)
大学受験のため、そして社会人になってからは資格取得のために英語を学習してきました。文法と単語については自信があり、メールを書くことはできるのですが、話をしようとすると口から英語が出てきません。なぜ英語を書くことができるのにスラスラと話をすることができないのでしょうか。どうすればスラスラと英語で話をすることができますか。

(写真:PIXTA)
(写真:PIXTA)

[回答]
 Nさん、英語学習者の典型的な悩みですね。誰もが感じている悩みと言えるでしょう。では、なぜこのような悩みが発生しているのでしょうか。それは、人間の脳の情報処理能力には限界があるからです。

 この脳の情報処理能力の限界は、「マジカル・ナンバー7±2(The Magical Number Seven, Plus or Minus Two)」と呼ばれています。これは、1956年に心理学者ミラーによって論文発表されました。この論文は被引用数が3万6543もある心理学だけでなく言語学や経営学までの広い範囲で引用されることが多い非常に重要なものです。

 ミラーは認知心理学の先駆けとして、ロックフェラー大学、マサチューセッツ工科大学、ハーバード大学、オックスフォード大学、プリンストン大学などで研究をしながら教べんを執り、米心理学会の会長を務めるなど現在に至る心理学の発展に大いに貢献した人物です。

 ミラーの研究によれば、人が数字や単語について認知・処理できる要素の数は、7±2個までとされています。ミラーは論文の中で先行する実験を引用しながら、聴覚(音程・音量)、味覚(塩水の濃さ)、視覚(正方形の中の丸の位置)のいずれにおいても、認知・処理できる数は7±2が限界であることを明らかにしました。

 また、ミラーはある一定の意味を持つ要素・かたまりをチャンクと名付けました。どのような感覚器からのどのようなインプットであっても人間がリアルタイムで瞬時に認知・処理できるチャンクの数は極めて限られていることが明らかになったのです。

 ミラーは論文の最後を、次のような一節で締めています。「7という数字は何でしょうか。世界の七不思議、7つの海、7つの大罪、アトラスの7人の娘、人間の7つの年齢、地獄の7つのレベル、7つの原色、音階の7つの音、1週間の7日などはどうでしょうか? 今のところ、私は判断を保留したいと思います。もしかしたら、この7つの数字の裏には何か深いものがあり、私たちがそれを発見することを求めているのかもしれません」(原文から一部省略)

 ミラーが指摘したように、「マジカル・ナンバー7±2」は人間にとって重要なことのようです。

続きを読む 2/3 文法に基づき単語を1つずつ処理するのでは間に合わない

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