この連載では、英語コーチング・プログラム「TORAIZ(トライズ)」の5000人を超える受講生のデータと学習工学に基づき、最小の努力によって最短で英語の学習目標を達成するためのノウハウを受講生や読者の皆様からの質問に答える形でお伝えしています。コメント欄でビジネス英語についてなんでもご質問ください。

 それでは今回も質問にお答えしていきたいと思います。

[今回の質問]

メーカー勤務 Yさん(33歳)
シャドーイングがリスニングにもスピーキングにもよいと聞いて始めて半年ほどになります。教材を使って勉強しているときは音声を聞きながら、ほぼまねして言えるようになりました。しかし、会社のオンライン会議で、英語のネイティブスピーカーが話しているのはさっぱり聞き取れないのです。私のシャドーイングのやり方が間違っているのでしょうか?

(写真:PIXTA)
(写真:PIXTA)

[回答]
 Yさん、心配することはありません。同じような悩みを抱えている人はたくさんいます。TORAIZを受講される方のほとんどが、独学か他の英会話スクールでシャドーイングを経験しています。

 英語のネイティブスピーカーが話す英語を聞き取れるようになるためのシャドーイングには3つのポイントがあります。

 1つ目は、教材の選定です。シャドーイングをする際にTOEIC Listening & Reading Test(以下、TOEIC)の教材を使っている方がいます。もちろん、TOEICのリスニングで高得点を狙うことがゴールであれば、TOEICの教材でもよいと思います。しかし、ネイティブスピーカーが話す英語を聞き取れるようになることがゴールであれば、TOEICの教材ではなくもっとナチュラルな英語の教材を使うことが重要だと思います。TOEICの英語の発音は、世界各国のなまりを取り入れるなど現実的な英語に変わってきているものの、やはり単語一つ一つを明瞭に発音する傾向があります。教材ですから当然といえば当然であり、逃れられない宿命でもあるかもしれません。

 一方で、現実の会議などでの英語は、単語と単語がつながって発音されるリンキングが起きることもあります。例えば、あえて発音をカタカナで表記すると「talk about」が「トーカバゥ」になるようなケースです。また、発音が変化するフラッピングもあります。例えば、「get it」の発音が「ゲディ」になるようなケースです。このような変化のパターンを知るために、TORAIZでは映画をお薦めしています。なぜならば、映画は学習のための教材ではなく、英語のネイティブスピーカーにとっても違和感のないナチュラルな英語が使われているからです。

 TORAIZでは映画をシャドーイング教材とする場合、映画のセリフを全て文字に起こしたスクリーンプレイシリーズをお薦めしています(スクリーンプレイ公式サイト)。このシリーズには映画のセリフを収録し直した音声教材もありますが、シャドーイングする際は映画オリジナルの音声を使うようにしてください。

 2つ目のポイントは、シャドーイングには段階があるということです。大きく分けて2段階あります。

 1段階目がプロソディシャドーイングで、2段階目がコンテンツシャドーイングです。

 プロソディシャドーイングは、音をひたすらまねることに集中するシャドーイングです。この段階では意味は分からなくていいです。また、文字を先に見て音を聞くことはやめてください。マガーク効果により視覚情報によって聞いた音がゆがんでしまい、聞いたままの音を認知できなくなってしまうからです(マガーク効果については東京女子大学田中章浩研究室制作の動画を参照のこと。日本人話者の「ぱ」の音声と「か」の口の動きを組み合わせたものです。口元を見ながら聞いたときと、口元を隠して聞いたときで、聞こえ方を比較してみてください)。

続きを読む 2/2 ディクテーションをした方がいい場合も

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