この連載では、英語コーチング・プログラム「TORAIZ(トライズ)」の5000人を超える受講生のデータと学習工学に基づき、最小の努力によって最短で英語の学習目標を達成するためのノウハウを受講生や読者の皆様からの質問に答える形でお伝えしています。コメント欄でビジネス英語についてなんでもご質問ください。

 それでは今回も質問にお答えしていきたいと思います。

[今回の質問]

薬品メーカー勤務 Tさん(38歳)

書店で平積みされている英語学習の本をついつい衝動買いをして、「今度こそ、頑張ろう!」と思って始めるのですが、いつも挫折しています。結果、自宅には英語の教材が積み上がっています。夏休みに英語を学習しようと思っていますが、同じ失敗を繰り返したくありません。どのような教材が自分に合っているのか、選び方にコツがあれば教えてください。

[回答]
 Tさん、誰もがたどってきた道です。TORAIZのカウンセリングに来られる方の多くも、英語学習の本が「積読(つんどく)」の状態になっているようです。

 このような状態にならないようにするためには何が重要なのでしょうか。英語学習の書籍であれば、本のタイトルや帯のキャッチコピーで買ってしまいがちです。しかし、それでは同じことの繰り返しです。ですから、書店やネットで本を探すことをいったんやめましょう。

 その上でまず、自分自身の学習のスタート地点とゴール地点を確認することが必要です。まず現状を把握してゴールを決め、どのようなルートで登るかを決めていく。ビジネスであれば当然のことですよね。

 ここで参考になるのが、米国の教育では一般的に活用されているインストラクショナル・デザインという考え方です。

 インストラクショナル・デザインとは、「何を(What)できるようにするか」という学習のゴールを明確にした上で、「どうやって(How)できるようにするか」を体系的に考えることにより、効果的・効率的でかつ魅力的な学習プログラムをデザインするための方法論です。インストラクショナル・デザインでは、その学習プログラムを完了すると当初狙った学習ゴールを達成できることが当然と考えます。つまり最終テストで100点を取れて当たり前ということです。

 それに対して日本での学習は、ある学習プログラムを完了して最終テストを受けて100点を取れない場合は、学習者本人の努力か能力が足りないとされてきました。つまり、デザインによって学習プログラムをよりよいものにしていくことには重点が置かれてこなかったのです。特に学校教育でその傾向が強かったと思います。戦前の軍隊についていわれるような「靴に足を合わせる」式の学習方法だと言えるでしょう。

 しかし、社会人であるTさんは自分でゴールを設定でき、学習方法も時間も自分で主体的に決めることができるのですから、今までの日本的な学習方法にとらわれる必要はありません。「自分の足に合った靴をオーダーメードで作る」べきです。

 分かりやすくするためビジネスパーソンが勤務先の昇進基準を満たすためTOEIC Listening & Reading Test(以下、TOEIC)のスコア800点を目指して教材選択をする場合で説明したいと思います。

 まずは、スタート地点の現在の状態を把握します。持っているTOEICのスコアが古い場合もあるかもしれません。そのような場合はもう一度受験して最新の自分の状態を把握する必要があります。

 次にゴールを明確にします。社内で要求されるスコアが800点であればそれをゴールとして設定します。可能であれば900点を狙いたいとか、英語でプレゼンテーションできるようになりたいといったように複数のゴールを設定することは好ましくありません。最速でゴールに到達するためにはできる限り絞り込んだゴールが望ましいのです。900点を狙ったり、英語でのプレゼンテーションについて考えたりすることは、社内で要求される800点を取ってからで十分です。

続きを読む 2/2 TOEICは1000単語覚えるごとに100点アップ

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