この連載では、英語コーチング・プログラム「TORAIZ(トライズ)」の5000人を超える受講生のデータと学習工学に基づき、最小の努力によって最短で英語の学習目標を達成するためのノウハウを受講生や読者の皆様からの質問に答える形でお伝えしています。コメント欄でビジネス英語についてなんでもご質問ください。

 それでは今回も質問にお答えしていきたいと思います。

[今回の質問]

IT企業勤務 Iさん(32歳)

 来月のオンライン会議で、私が参加していたプロジェクトの成果について英語でプレゼンテーションをする必要があります。英語でのプレゼンテーションをする際には、一定の型があると思います。その型を短期間でどのように身に付ければよいか教えてください。

[回答]
 Iさん、来月ですとあまり時間がありませんね。しかし、心配する必要はありません。

 まず、英語のプレゼンテーションについてですが、英語を使うシチュエーションとしては、要求される英語力はそれほど高いものではありません。それは、次のような特徴があるためです。

  1. プレゼンテーションは、もともとテーマが決まっていること。話がテーマと全く関係ないプライベートな事柄に飛躍するようなパーティートークと比較すれば、語彙もフレーズも限定されている。
  2. プレゼンテーションそのものは、自分自身からの一方的なコミュニケーションであること。
  3. 話の流れが決まっており、スライドがあるので、話の内容もある程度スライドから読み取れること。
  4. プレゼンテーション後の質疑応答については、英語のネイティブスピーカーであっても聴衆全員が聞き取れるように明瞭にゆっくり話す傾向があること。
  5. 質疑応答は、質問者と自分自身の一問一答であること。社内の会議のように複数の英語のネイティブスピーカーが同時に話す状況は想定されにくいこと。

 英語でのプレゼンテーションと質疑応答については、CEFRでB1レベル(CEFRについて詳しく知りたい方は「会社の英語力の指標にCEFRが加わった、TOEICと何が違う?」を参照ください)、ピアソンのスピーキング力テストVERSANTのスコアで47点あれば、なんとかこなせると考えます。Iさんはいかがでしょうか? CEFRでB1、またはVERSANTで47点あればよいのですが、今回はそのスコアに少し足りなくても乗り切れる方法を説明していきたいと思います。

(写真:PIXTA)
(写真:PIXTA)

 まずプレゼンテーションですが、オススメの方法は、1スライド・1メッセージです。つまり、1枚のスライドに1つのメッセージでプレゼンテーションを組み立てます。それにメッセージを補強するイメージ画像やグラフを付け加えていきます。

 これは、ソフトバンクグループ会長兼社長の孫正義さんのスライドの作り方です。同社の資料は全て、この孫さん流で作られています。ソフトバンクグループの英語版サイトで、株主総会などのプレゼンテーション資料を確認することができます。

 なぜこのようなスライドの作り方をするのでしょうか。私自身、孫さんから何度も理由を聞かされたのですが、次のような利点があるからです。「人間は、まず図表で興味を持ち(イメージや感情をつかさどる)右脳で処理して『なんだろう』という感情が動く。その後に文字を読んで(言葉や論理をつかさどる)左脳で論理的に納得する」

 また、私自身の認識としては、特に英語のプレゼンテーションの場合、次のような利点もあります。

  1. スライドにキーとなるメッセージは書いてあるので、プレゼンテーション全体の流れやメッセージを確実に伝達できる。英語の単語やフレーズを万が一忘れても最低限プレゼンテーションとしては成立する。
  2. スライド自体にはキーメッセージしか書いていないので、聴衆が自分の話を聞かずに文字を読むことに集中してしまい盛り上がらないといったことにはなりにくい。
  3. スライドのキーメッセージを補強することを口頭で話すので臨場感が出る。このときに話すのは、簡単な文章や単語でも問題ない。また、会場の理解度や盛り上がり方を見ながら、1スライドあたりの追加情報を調整することもできる。

 スライドを作りながら全体の流れも考えます。どのように全体の流れを構成しているのか、実際に孫さんのプレゼンテーションの動画を見てみましょう。以下の動画は、2017年にスペインで開催されたMobile World Congressのオープニングのプレゼンテーションです。このイベントは世界中の携帯電話関連の企業が集まる大変大規模なものです。

続きを読む 2/2 ソフトバンク孫さんのプレゼンテーションの流れとは?

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