この連載では、英語コーチング・プログラム「TORAIZ(トライズ)」の5000人を超える受講生のデータと学習工学に基づき、最小の努力によって最短で英語の学習目標を達成するためのノウハウを受講生や読者の皆様からの質問に答える形でお伝えしています。コメント欄でビジネス英語についてなんでもご質問ください。

 それでは今回も質問にお答えしていきたいと思います。

[今回の質問]

家電メーカー勤務 Mさん(32歳)

 学習しても自分の英語が伸びていない気がして、継続して3カ月以上学習をすることができません。書店に行くと英語学習用の新たな書籍を買うのですが、最後まで継続できず、結局本が積み上がるばかりです。飽きやすい性格なのかもしれません。こんな私でも継続して英語を学習できる、よい方法はありますか?

[回答]
 Mさん、心配する必要はありません。英語学習をしているほとんどの人は同じ経験をしています。3カ月でギブアップというのは最もよくあるパターンです。最初はスタートダッシュでやる気にあふれていても、3カ月ほどたつと急速にやる気がなくなってしまうことがよくあります。どうして多くの人が同じような経験をしているのでしょうか。それは、英語学習の特性によるものです。

 英語学習の特性の1つとして、実力が付くのに非常に時間がかかるという点があります。この連載で何度も申し上げている通り、平均的な日本人ビジネスパーソンが英語で仕事をするために最低限必要な英語力(CEFR=ヨーロッパ言語共通参照枠=でB1、VERSANTスピーキングテストで47点程度)を獲得するためには、1000時間の学習を必要とします(関連記事:週1回の英会話教室通い、英語が話せるようになるまで何年かかる?)。毎日3時間学習して1年、毎日1時間ならば3年かかるということになります。

 これだけの時間が必要なので、短い期間で英語力の伸びを実感することは難しいのです。誰もが子供のころ、久しぶりに会う親戚の人に「〇〇ちゃん、背が伸びたね」と言われたことがあると思いますが、それと似ています。たまに会う他人から見れば伸びを認識することはできるのですが、自分で日々の伸びを実感するのは難しいと思います。

 また、英語力は直線的に伸びていくものでもありません。あるときは急激に伸びますが、一方で停滞する期間も生じます。この停滞期を専門的には「学習高原」と呼びます。

 私が運営するTORAIZの受講生が受けたVERSANTのスコア推移を見てみましょう。このチャートは、2019年以降のTORAIZ全受講生のVERSANT、1.4万回のスコアデータから作ったものです。

 このチャートによれば、学習時間が300時間から500時間のあたりに1回目の停滞期があり、700時間から900時間のあたりに2回目の停滞期があります。1.4万回のスコアデータを分析したものなので、おおよそ普遍的な傾向と言えると思います。

 このVERSANTのデータをさらに詳細に見てみると、2回の停滞期に全く英語力が伸びていないのかと言えばそうではないことが分かります。VERSANTは「文章構文」「語彙」「流ちょうさ」「発音」の4つのスコアの平均で総合スコアを計算しているのですが、2回の停滞期では、「文章構文」「語彙」のスコアが伸びていることが多く、一方で「流ちょうさ」は大きく低下して、結果として総合スコアが低下している場合がほとんどなのです。そして、そこからさらに100時間前後学習すると「流ちょうさ」のスコアも伸びてきて、総合点も上がってくるのです。

続きを読む 2/2 「伸びない時間」が英語力を育てる

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